2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第22問 人間の安全保障
問題 22
2012 年の国連総会では,「人間の安全保障」についての共通理解の文書が採択された。ここで示された「人間の安全保障」の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 貧困を解決することに限定されている。
2 全ての人々の保護および能力と地位の向上を強化することを求めている。
3 予防志向型の対応を求めていない。
4 経済的権利に優先性を付与している。
5 武力の行使を必要としている。(注)「人間の安全保障」についての共通理解の文書とは,「2005 年世界サミット成果
文書の人間の安全保障に関する第 143 項のフォローアップ」をいう。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
”最も適切”そうな選択肢を選ぶことができるかの勝負
率直に言って、この問題は勘で解きましたね・・・”人間の安全保障”をしっかりと理解するには自分には時間が無さすぎる!ということで試験対策としては諦めました。ではこの問題は捨てるのか、というとそうでも無いです。選択肢をよく見ると、受験テクニックでだいぶ絞ることができる問題だと思います。
〇〇することはない、限定されている、は大体×
断定的な選択肢や、限定的な選択肢はだいたい×ですね。以前、第7問のところで触れた受験テクニックです。
1 貧困を解決することに限定されている。 →こういうのはだいたい×ですね。絶対ではありませんが・・・
倫理的、常識的に考えてどうか、と考えてみる。
5 武力の行使を必要としている。 ”安全保障”についての話なので、昨今の集団的自衛権の問題であるとか、そういった情報から”武力”というワードが連想されるかもしれませんね。しかし、よく考えてみてください。社会福祉士試験にで、”武力行使が必要”などという選択肢を選ばせようとするでしょうか?選択肢5は常識的に×だとわかるはずです。
社会福祉士を目指す方は、社会福祉士会設立宣言を一度は通読してください。
我々社会福祉専門職は、全ての人々のより人間らしい「生活の質」(QOL)をめざした生存権と生活権の保障を基礎とし、住宅・労働・教育・保険・医療などの分野と連携しつつ、人々の社会生活上の基本的ニーズの充足を試み、社会的、インテグレーション(統合)と、あらゆるところでのノーマライゼーションの推進・達成を図り、そして「人間尊重」を第一義とする平和で人間らしい生活を営むことができる福祉社会の実現のために、援助を必要とする人々を支えようと努力する。
引用:社会福祉士会HP
最も適切か、で考える。
残るは、選択肢2,3 ,4に絞られました。 正直言って、ここからは勘に頼っての回答でしたが、選択肢 4 経済的権利に優先性を付与している。→経済的権利より、貧困状態の人の人権をどう回復していくのか・・・という支援が社会福祉士の本分だと思いますので、なんとなくこれは違いそうですね。よって除外します。
あとは選択肢2 全ての人々の保護および能力と地位の向上を強化することを求めている。・・・これはなんとなくそれっぽい感じですね。ビビッと来た(笑)。まあこれが正当なんですが。
6割取れれば良いんだから割り切るのも必要
全然解説になってないだろ、と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、つまるところ”試験への合格”が目的なわけですから、取れるところをしっかり取れれば、捨てる問題が有っても良いかと思います。この問題を間違えたからと言って、”人間の安全保障 ”を丸暗記するような勉強は不要だと思います。そんな時間があれば、他にリソースを向けた方がいいと思います。
第31回国試の特徴として、”過去問では問われなかった論点が出ている”ということが言われています。闇雲に暗記量を増やすよりも、日常的に時事問題に触れ、現在社会で起きている話題、問題意識を持っているかが問われる中身になっていると思います。例えば第18問の人口ボーナスなどがそうです。
第18問は社会人経験のある人には強みを生かせる、平易な問題だったかも知れません。日ごろから新聞を読むとか、そういった日々の積み重ねが得点につながっていくと思います。