2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第47問 福祉計画に定めるべき事項

問題47

 法律に基づく,福祉計画に定めるべき事項に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。


1 都道府県介護保険事業支援計画では,介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを基に,市町村の介護保険料を定める。
2 都道府県障害福祉計画では,各年度の指定障害者支援施設の必要入所定員総数を定める。
3 市町村障害者計画では,各年度における指定障害福祉サービス,指定地域相談支援又は指定計画相談支援の種類ごとの必要な量の見込みを定める。
4 市町村障害児福祉計画では,指定障害児入所施設等における入所児支援の質の向上のための事項を定める。
5 市町村地域福祉計画では,社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項を定める。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

また福祉計画。手強いですね。

福祉計画はしんどいです。第45問の記事も是非参考にしてください。そこで触れた法律を、もう一度読み込んでいきます。

都道府県介護保険事業支援計画

(都道府県介護保険事業支援計画)
第百十八条 都道府県は、基本指針に即して、三年を一期とする介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施の支援に関する計画(以下「都道府県介護保険事業支援計画」という。)を定めるものとする。
2 都道府県介護保険事業支援計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 当該都道府県が定める区域ごとに当該区域における各年度の介護専用型特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数、介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数その他の介護給付等対象サービスの量の見込み

出所:介護保険法

選択肢1は誤り。ですが、都道府県介護事業支援計画について。サービスの見込み量については定めるものとする、とされています。が、市町村の介護保険料を定めはしません。三年を一期です。

都道府県障害福祉計画

(都道府県障害福祉計画)
第八十九条 都道府県は、基本指針に即して、市町村障害福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、障害福祉サービスの提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画(以下「都道府県障害福祉計画」という。)を定めるものとする。
2 都道府県障害福祉計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項
二 当該都道府県が定める区域ごとに当該区域における各年度の指定障害福祉サービス、指定地域相談支援又は指定計画相談支援の種類ごとの必要な量の見込み
三 各年度の指定障害者支援施設の必要入所定員総数
四 地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項

出所: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

選択肢2が正答です。そのものズバリが記載されていますね。

市町村障害者計画

(障害者基本計画等)
第十一条 政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「都道府県障害者計画」という。)を策定しなければならない。
3 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障害者計画」という。)を策定しなければならない。
4 内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、障害者政策委員会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
5 都道府県は、都道府県障害者計画を策定するに当たつては、第三十六条第一項の合議制の機関の意見を聴かなければならない。
6 市町村は、市町村障害者計画を策定するに当たつては、第三十六条第四項の合議制の機関を設置している場合にあつてはその意見を、その他の場合にあつては障害者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
7 政府は、障害者基本計画を策定したときは、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
8 第二項又は第三項の規定により都道府県障害者計画又は市町村障害者計画が策定されたときは、都道府県知事又は市町村長は、これを当該都道府県の議会又は当該市町村の議会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。
9 第四項及び第七項の規定は障害者基本計画の変更について、第五項及び前項の規定は都道府県障害者計画の変更について、第六項及び前項の規定は市町村障害者計画の変更について準用する。

出所:障害基本法

選択肢3誤り。必要な量の見込みは、市町村障害福祉計画です。これはややしいですね!いつも思うのですが、これらの法律や計画は、一つにまとめられないのでしょうか?それぞれ法律が違うから、仕方ないのですが、わざわざややこしい仕組みにして、”どうだ、引っかかっただろう”みたいな問題はものすごく生産性が低いと思います。(愚痴です)

市町村障害児福祉計画

第十条 市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
一 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
二 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な情報の提供を行うこと。
三 児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他からの相談に応ずること並びに必要な調査及び指導を行うこと並びにこれらに付随する業務を行うこと。
四 前三号に掲げるもののほか、児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他につき、必要な支援を行うこと。
○2 市町村長は、前項第三号に掲げる業務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものについては、児童相談所の技術的援助及び助言を求めなければならない。
○3 市町村長は、第一項第三号に掲げる業務を行うに当たつて、医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を必要とする場合には、児童相談所の判定を求めなければならない。
○4 市町村は、この法律による事務を適切に行うために必要な体制の整備に努めるとともに、当該事務に従事する職員の人材の確保及び資質の向上のために必要な措置を講じなければならない。

出所:児童福祉法

選択肢4誤り。市町村の役割として、 “職員の人材の確保及び資質の向上のために必要な措置を講じなければならない。 “とされているのは市町村の果たすべき役割であって、 計画の中に織り込むことは求められていません。

市町村地域福祉計画

(市町村地域福祉計画)
第百七条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする。
一 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
二 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
三 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項

出所:社会福祉法

選択肢5 誤り。市町村地域福祉計画は社会福祉法に規定されており、上記の通り内容を策定することとされています。

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