2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第137問 児童虐待防止法

問題137 X保育園に転園して間もないGちゃん( 5 歳)は,父親が迎えに来るとおびえた表情をする。母親の顔にはあざができていることもあった。今朝,Gちゃんを送ってきた母親の顔は腫れており,保育士が声を掛けると避けて,すぐに帰ってしまった。お昼寝の時間になり,Gちゃんは保育士の耳元で,昨夜,父親が母親を激しく殴ったことを打ち明けた。Gちゃんが寝た後,保育士はこのことを園長に報告した。
次の記述のうち,保育所の初動対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。


1 職員会議を開いて全職員にこのことを伝え,意見を聞いて対応を検討する。
2 園長から児童相談所に通告する。
3 母親が迎えに来たら,詳しい状況を聞くことにする。
4 Gちゃんの家庭の様子を,近隣に住んでいる他の園児の保護者に聞く。
5 父親と連絡を取り,Gちゃんの話を伝え,状況を尋ねる。

引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

これは間違えた人が多いかも??児童虐待への対応

事例問題です。今回の問題を解く前に、是非とも135問を観ていただきたいと思います。下にリンクを掲載します。

如何でしたでしょうか。
今回は児童虐待防止法についての問題となります。
地域包括における虐待の対応について。包括は虐待の窓口を行っています。
高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)に規定されている、虐待の通報義務を理解しておきましょう。
また、あわせて児童虐待、障がい者虐待、DVの通報義務もセットで覚えると効率的です。
(というより、これら4種の虐待の通報義務は少しずつ違うので、間違えやすく、出題しやすいポイントです)

1 職員会議を開いて全職員にこのことを伝え,意見を聞いて対応を検討する。

この選択肢を選んだ人が多いのでは無いでしょうか。
このサイトでは、過去にさんざん”協議をする”というような選択肢はだいたい合ってるとか、”拙速な選択肢は間違い”みたいなことを書いていますが、残念ながらこの問題においては、この選択は誤りです。

2 園長から児童相談所に通告する。

今回は、これが正解です。
いきなり通告?と思われるかも知れません。
児童虐待防止法において、児童虐待は疑いの段階で通報義務が発生します。
疑いの段階で、すでに悠長に会議をやっている場合ではないのです。

オレンジリボン運動というものが有りますので、是非一度お目通しください。

さて、通報は児童相談所に行われるわけですが、番号は全国共通の189(いちはやく)番です。
児童相談所には、立入り等の強力な権限が与えられています。
通報において、通報者の秘密は守られますし、間違っていても問題無いとされていますので、まずは疑われるような事態があればまずは通報というのが、児童虐待の対応となります。

こういった、児童虐待、障がい者虐待の通報義務と、その初期対応についての事例問題は公認心理師試験でもよく出題され、そして機敏な対応がされているかを問うケースがとても多いので、しっかり注意したいところです。

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