2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第138問 母子及び父子並びに寡婦福祉法

問題138 母子及び父子並びに寡婦福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体は,母子家庭・父子家庭が民間の住宅に入居するに際して,家賃の補助等の特別の配慮をしなければならない。
2 この法律にいう児童とは,18 歳に満たない者をいう。
3 この法律にいう寡婦とは,配偶者と死別した女子であって,児童を扶養した経験のないものをいう。
4 都道府県は,児童を監護しない親の扶養義務を履行させるために,養育費の徴収を代行することができる。
5 都道府県は,母子家庭の母親が事業を開始・継続するのに必要な資金を貸し付けることができる。

引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

母子(父子)家庭、寡婦(かふ)の定義をまず理解する

第六条 この法律において「配偶者のない女子」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と死別した女子であつて、現に婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)をしていないもの及びこれに準ずる次に掲げる女子をいう。
一 離婚した女子であつて現に婚姻をしていないもの
二 配偶者の生死が明らかでない女子
三 配偶者から遺棄されている女子
四 配偶者が海外にあるためその扶養を受けることができない女子
五 配偶者が精神又は身体の障害により長期にわたつて労働能力を失つている女子
六 前各号に掲げる者に準ずる女子であつて政令で定めるもの

出所:母子及び父子並びに寡婦福祉法

母子家庭、というと ”離婚した女子であつて現に婚姻をしていないもの ”、” 死別 ”のいずれかというイメージが強いです(個人の感想)
しかしながら、法律上は” 配偶者が精神又は身体の障害により長期にわたつて労働能力を失つている女子 ”も対象になるのか、というのが意外でした。今回の問題ではこの部分は問われていませんが、今後出題される可能性は有ると思います。

寡婦の定義

4 この法律において「寡婦」とは、配偶者のない女子であつて、かつて配偶者のない女子として民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条の規定により児童を扶養していたことのあるものをいう。

出所:母子及び父子並びに寡婦福祉法 第六条

この法律で言うところの寡婦とは、”配偶者のない女子であり、かつて児童を扶養していたことのあるもの”とされています。男性は対象となっていないことに注意しましょう(男性の場合は寡夫)。
なお、所得税における寡婦控除の定義とは一致しないので注意です。

なんだか、説明がわかりにくいので、児童の定義を見てみます。

3 この法律において「児童」とは、二十歳に満たない者をいう。

出所:母子及び父子並びに寡婦福祉法 第六条

児童の定義は20歳未満です。つまり、”かつて児童を扶養していたことのあるもの”というのは、

  1. 子どもが成人した(20歳を越えて、児童の定義から外れた)
  2. 子どもと離別した、
  3. 子どもと死別した

等が考えられます。

2 この法律にいう児童とは,18 歳に満たない者をいう。

以上の定義と照らし合わせると、この選択肢は誤りだとわかります。
なお、児童の定義は法律によって異なりますが、18歳を児童と定義しているのは児童福祉法です。
児童福祉法も、社会福祉士試験では大きく関わってくるので、そことの引っかけですね。
また、少年法も児童の定義は20歳なので、混同しないように気をつけます。

3 この法律にいう寡婦とは,配偶者と死別した女子であって,児童を扶養した経験のないものをいう。

児童を扶養した経験のないものではなく、経験のあるもの、が正しいですね。
これは冷静に読めば知識が無くてもわかるかな、と思います。

1 地方公共団体は,母子家庭・父子家庭が民間の住宅に入居するに際して,家賃の補助等の特別の配慮をしなければならない。

ここのポイントは”民間の”住宅に入居する際、ということですね。住宅を大別すると民間、公営の2つに分けられると思いますが、民間事業者との契約に介入、補助をしていくことはまず考えられませんね。明らかに公営住宅への補助と考えるのが自然では無いでしょうか。

4 都道府県は,児童を監護しない親の扶養義務を履行させるために,養育費の徴収を代行することができる。

養育費を支払わない、というような話は耳にしたことがある方は多いのでは無いでしょうか。養育費不払いは社会問題ではありますが、あくまで当事者間、つまり民事の問題で、その代行を都道府県が行うことはありません。
しかしながら、このような問題があることはしっかりと相談員として理解しておく必要が有ります。

5 都道府県は,母子家庭の母親が事業を開始・継続するのに必要な資金を貸し付けることができる。

正答です。
選択肢の最後が、”~できる”で終っていることからも、勘でこれを選んで正解まで期待できる内容かとも思います。

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