2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第57問 障害者福祉制度の発展過程

問題57

 障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。


1 国連で定めた国際障害者年(1981 年(昭和56 年))のテーマは,「万人のための社会に向けて」であった。
2 「障害者虐待防止法」(2011 年(平成23 年))における障害者虐待には,障害者福祉施設従事者によるものは除外された。
3 「障害者雇用促進法」の改正(2013 年(平成25 年))では,雇用分野における障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について,努力義務が課された。
4 「障害者差別解消法」(2013 年(平成25 年))では,障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について,民間事業者に努力義務が課された。
5 障害者の権利に関する条約(2014 年(平成26 年)批准)では,「合理的配慮」という考え方が重要視された。
(注)1  「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
2  「障害者雇用促進法」とは,「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
3  「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

これは即答したいところですね。でも、ちょっと迷いやすいかも?

最も適切=最も無難なもの、と読み替えても良いかも

障がい分野に関わっている人なら、この問題は四の五の言わず、正答の選択肢:5を選べるのでは無いかと思います。そうでなくとも、障害者差別解消法=合理的配慮は、保健医療福祉に携わっている人は必ず知っていて欲しいと思いますし、広く国民に浸透して欲しいと思います。

この問題は、他の選択肢も”なんとなくそれっぽい”内容で、選びにくい面も有るかと思います。ちょっとややこしいところですね。

しかしながら、障害者差別解消法と合理的配慮については、最近の様々な国家試験で取り上げられている話題です。社会福祉士、保育士、公認心理師・・・。障がい観が大きく変容してきている中で、たいへん重要な考え方かと思いますので、是非ICFとあわせて覚えて欲しいと思います。

高齢者虐待が疑われるときは、通報努力義務 ただし施設職員による虐待が疑われる場合は通報義務(必ず通報)

選択肢2ですが、障害者虐待防止法において障がい者虐待は通報義務が課せられています。対象となるのは、

  • 家族
  • 施設職員
  • 使用者(雇用主)

上記が虐待を行ったと”思われるとき”は、必ず通報(義務)です。この、3者が対象ですよ、というのは公認心理師試験国試でも出題されていましたね。選択肢2は誤り

また、虐待つながりで、高齢者虐待防止法では、虐待を受けていると思われる高齢者を発見した場合は、通報努力義務。ただし、施設職員による虐待が疑われる場合は、通報義務。また、”生命、身体に重大な危険”があるときも、通報義務です。このあたりがややこしいので、引っかけてきたな!という感じですね。

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