2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第56問 平成28 年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)
問題56 「平成28 年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」における障害者の実態に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさ
い。
1 障害者手帳の種類別でみると,精神障害者保健福祉手帳所持者数が最も多い。
2 身体障害者手帳所持者のうち,65 歳以上の者は3 分の2 を超えている。
3 療育手帳所持者数は,前回の調査時(平成23 年)よりも減少している。
4 精神障害者保健福祉手帳所持者のうち,最も多い年齢階級は「20 歳~29 歳」である。
5 身体障害者手帳所持者のうち,障害の種類で最も多いのは内部障害である。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
○ ○ に関する調査、についての出題は、原典をしっかり読みましょう
丸暗記ではなく、要点をつかむのがポイント
- 身体障がい者が圧倒的に多い( 障害者手帳所持者のうち、以下同じ)
- 精神よりも、療育(知的障がい)のほうが多い
- いずれも前回調査(平成23年)より増加している
自立支援給付(障害者手帳非所持)、について。障害者総合支援法の給付は、障害者手帳の取得は必須で無いことも覚えておくと良いと思います。
療育手帳は法律に規定されていない
また、療育手帳は知的障がい者に対して交付されますが、法律上に規定されていないことに注意します。地方公共団体によっては、愛護手帳といった名前で交付しているケースもありますね。また、”療育”手帳ということで、療育が必要・・・発達障害の人に交付される、という覚え方をしてしまっている方も居るようです。
療育手帳は知的障がい者、自閉スペクトラム症(ASD)のような、発達障害は日本では精神障害者保健福祉手帳が交付されますので間違えないように覚えましょう。
以上踏まえると、選択肢1,3は誤り
1 障害者手帳の種類別でみると,精神障害者保健福祉手帳所持者数が最も多い。
3 療育手帳所持者数は,前回の調査時(平成23 年)よりも減少している。
→いずれも誤りですね。この二つは即決で除外したいところです。
覚え方ですが、身体障害者が多い・・・やはり高齢で脳血管疾患等を発症し、寝たきりになり6ヶ月後に肢体不自由というケースを私自身多く見てきました。そのような事例が相当数有るのでしょう。
療育手帳は、1.5倍と急増していますね。大人の発達障害が話題になりましたが、発達障害として診断されるケースが増加していることに起因するのでは無いでしょうか。DSM-5では、ADHDの診断基準が7歳から12歳に変更となる等、緩和されました。認知度のアップ、診断基準の緩和といったことから、療育手帳の所持者が増加しているのだろう、と覚えています。
調査の概要pdfの中身からわかること
選択肢5 一番多いのは肢体不自由
5 身体障害者手帳所持者のうち,障害の種類で最も多いのは内部障害である。 →これは即除外できるようにしたいですね。最も多いのは、前述のイメージ通り、肢体不自由です。選択肢5は誤り。
残った、2と4で迷う。これはうまく覚える方法あるでしょうか?
正答は、2の身体障害者手帳所持者のうち,65 歳以上の者は3 分の2 を超えている。 でした。このあえて” 3 分の2 ”を、いじってくる問題がよく有るじゃ無いですか。でも、この問題は引っかけでは無く、イメージ通りでしたね。やはり高齢者の肢体不自由や内部障害(心機能と、腎機能がツートップ)が多いのでしょうね。