2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第49問 社会保険制度の財源

問題49

 社会保険制度の財源に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。


1 健康保険の給付費に対する国庫補助はない。
2 介護保険の給付財源は,利用者負担を除き,都道府県が4 分の1 を負担している。
3 老齢基礎年金は,給付に要する費用の3 分の2 が国庫負担で賄われている。
4 労働者災害補償保険に要する費用は,事業主と労働者の保険料で賄われている。
5 雇用保険の育児休業給付金及び介護休業給付金に対する国庫負担がある。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

財源構成を問う問題は、覚えるのが大変ですね!

鬼門だった”福祉行財政と福祉計画”が終わり、社会保障です。・・・が、また似たような問題です。社会保障費の財源などを問う問題ですが、これまたしんどいですね。ちなみにケアマネ試験でもよく出てきて、こいつに泣かされた人は多いのでは無いでしょうか?

ケアマネ試験の、いわゆる支援分野は25点中12~16点の得点が必要で、一問の重みが非常に重く、一点に泣く人が多いのです。そして、こういった財源の問題は丸暗記で対応することが多く、捨て問題になりがちです(あくまで私の周囲の話)。結果、落ちてしまうと言う・・・

実は、正答を選ぶだけならかなり簡単な問題。しかし、せっかくなので全ての選択肢をしっかり理解していきましょう。

正答は、選択肢5です。よくよく読めば、当たり前の内容で、育児休業給付金等には当然に国庫負担があります。雇用保険の給付ですからね。瞬殺できる内容なのですが、せっかくなので(?)他の選択肢の内容も検証しておきます。

→というか、過去問に取り組むにあたり”正解だけを確認して終わり”というのは意味があまりないです。誤りとなっている選択肢の中身をしっかり”何故間違っているのか”を調べることにより、知識の定着ができていくというのは間違いないと思います。苦手教科ならなおさらです。

選択肢1 これはなんとなく除外できたのでは?

財源は?
 健康保険事業の運営費には、保険給付費(前期高齢者納付金、後期高齢者支援金の納付費用を含む)、介護納付金・事業費・事務費があります。事務費、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、保険給付費及び介護納付金の一部は国庫が負担し、その他は、保険料でまかなわれています。

引用:協会けんぽHP

皆さんの加入している健康保険は何でしょうか?日本は国民皆保険ですから、何らかの健康保険に加入されていると思います。私の加入している協会けんぽのHPには、上記のように一部を国庫が負担していると書かれています。したがって、選択肢1の”国庫補助はない”は明確に誤りです。

ちなみに、国保の国庫補助推移資料が厚労省にありましたので、併せてご確認いただけるとより理解が進むのでは無いでしょうか?すごい勢いで増えていますね!

選択肢2 これは難しいですが、ケアマネ試験を見据えて覚えておいて損は無いです。

介護保険の財源については、奈良市のHPがわかりやすかったので、リンクしておきます。

ポイントをまとめると、

  • 税金と保険料がそれぞれ50%ずつ。
  • 税金(50%)のうち、25%が国庫、残り25%を県と、保険者たる市町村が半分ずつ払う(つまり県は12.5%)
  • 通所と、施設サービスでは、国と県の支払い割合が違う(施設サービスは、国庫負担少なめ、県の支払い分が多い)

というところです。したがって、都道府県が1/4を負担、というのは誤りです。

選択肢3 老齢基礎年金

日本年金機構を見てみましょう。基礎年金の国庫負担は1/2ですね。過去記事にもあるように社会保障費に占める年金の割合は多いです。老後の生活保障をどのように行っていくのか・・・医療や高齢者分野で働く場合は、生活をどう成り立たせていくのか、大きな課題ですね。今後の動向も含めて、常に注視していく必要が有りますね。

選択肢4 労災保険は全額事業主負担

労災保険は、全額事業主負担です。選択肢5の、育児休業給付金等は雇用保険の給付ですが、雇用保険は労使双方が負担しています。

この問題では触れられていませんが、労災の加入対象者(事業主は加入できず、特別加入(一人親方など)制度がある)、雇用保険のその他の給付(失業給付、教育訓練給付等)も、一緒に復習しておくと良いと思います!

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