2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第44問 医療と介護の最近の改革

問題 44

医療と介護の最近の改革に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。


1 市町村は,介護保険及び国民健康保険の財政を一体的に管理運営する責任を担うこととなった。
2 医療計画と介護保険事業計画の整合性を確保するため,介護保険事業計画の計画期間は 5 年に変更された。
3 住民の健康づくりや効率的な医療・介護の提供体制の構築等の地域課題に取り組むため,市町村に保険者協議会が設置されることとなった。
4 地域医療構想は,医療計画と介護保険事業支援計画の内容を包含する構想である。
5 介護保険施設として,新たに介護医療院が設置された。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

2018年(平成30年)4月介護報酬改定の内容を理解しているかがポイント

この問題は、簡単でした。選択肢5が正答です。2018年4月の介護報酬改定において創設されたのが、介護医療院。2018年度に行われた国家試験で出題されたわけですが、改定の中身を一定理解している人なら簡単に回答できたと思います。

将来この問題を、過去問として解く場合どう感じるのだろうか。

面白いのは、選択肢の文書” 新たに介護医療院が設置 ”。新たに、とは何時の時点で”新たに”なのか。試験が行われた2018年度のことです。将来、過去問でこの問題に触れたとき、”2018年度の出題”ということを念頭に置かないと、解きにくいですよね。

また、過去を振り返ったとき、”介護医療院が何時から始まったか?”ということまで丸暗記するのは得策とは言えないと思います。

介護医療院ができた背景、はつかんでおいた方が良いですね。それまで,介護保険サービスの介護療養型病床は、廃止を散々延期して、老健に転換だとか色々やってきましたが、結局のところ行き着いたのがこの介護医療院ですね。そういった背景、顛末を一つの締めくくりとして、今回出題されたと思います。

今後の受験においては、この論点はほどほどに取り組めばいいかな?という気がしますね。

(医療)専門職の学習は生涯続く

2018年4月は、医療・介護の同時改定でしたが、”惑星直列”なんていう言葉も出てくるほどインパクトのある内容になると言われていました。介護保険は3年に一度、医療は2年に一度報酬改定が有り、その都度制度変更があります。2005年の特養・老健等における居住費・食費の自己負担(いわゆるホテルコスト)や、2006年の要支援→要支援1、要支援2になったりなどは、現場も大混乱だったと記憶しています。

大規模な制度変更に際しては、当然、先回りして要支援者への対応が必要になりますので、改定前後は集中的に情報収集しないと行けませんし、利用者の同意を得ないと行けないですね。ホテルコスト導入時は、利用者負担が跳ね上がる人もいて、同意を得たり、場合によってはより適切な施設を探したりなどする必要がありました。

このように、制度の理解も必要ですし、例えば障がいを持つ人の考え方も大きく変化していますね。

(資質向上の責務)
第四十七条の二 社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉及び介護を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助又は介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

出所: 社会福祉士及び介護福祉士法

社会福祉士及び介護福祉士法では、資質向上の責務が、努力義務とされています(あくまで努力義務であるところはポイントですね)。実際の所、資質向上をしていかないと仕事にならないですよね。受験の段階から、時事の問題に関心をもつことは、試験対策も将来を見通しても、必要だと思います。

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