2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第40問 ひきこもり

問題 40

P市から生活困窮者自立支援事業を受託している社会福祉協議会のC相談員(社会福祉士)は,民生委員から,30 歳で失業して以来,親と同居して 20 年間にわたりひきこもっているケースを相談された。C相談員は,これを契機として,P市には他にも長い期間ひきこもりの状態になっている人がいるのではないかと考えた。そこで,この考えを市の担当課に伝えたところ,総合的なひきこもり対策を検討する必要があると考えた市は,C相談員にその対応についての検討を依頼した。
次のうち,C相談員の対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。


1 学校や地域若者サポートステーションと役割分担し,40 歳以上の人に限定した対策を考えるために関係者に集まってもらう。
2 民生委員児童委員協議会と協働して実態調査を実施する。
3 ひきこもりの人たちが参加しやすい場づくりが必要と考えて,市内のボランティア組織の会長に相談する。
4 ひきこもり対策は保健師の対応が適切であると考えて,保健センターに対策を任せる。
5 親が要介護であるなど,支援の必要性が高い場合に限って対応する。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

事例問題 これも難易度低いですね!

2つ選びましょう!

社会福祉士国家試験は、適切なものを2つ選ぶ出題があることは以前触れました。いやらしいところは、こういった”2つ選ぶ”が固まっているわけではなくバラバラに出てくるんですね。ついうっかり一つしか選ばなかった場合は不正解となりますので、つまらないことで失点しないように気を付けましょう。

※ちなみに、公認心理師試験でも2つ選ぶ出題がありますが、こちらは固まってでてきます。つまらない不注意で得点に差がつかないような配慮がされています。

消去法で消していきましょう!

毎度おなじみですが、社会福祉士国試は、いわゆる受験テクニックがとても有効です。特に事例問題に顕著です。

 1 学校や地域若者サポートステーションと役割分担し,40 歳以上の人に限定した対策を考えるために関係者に集まってもらう。

5 親が要介護であるなど,支援の必要性が高い場合に限って対応する。

もう、この限定とか、限って、の時点で誤りということは推測がつけられます。

中身のほうも触れておくと、生活困窮者自立支援制度の対象者は、” 現在生活保護を受給していないが、生活保護に至る可能性のある者で、自立が見込まれる者 ”です。問題文の中で 30 歳で失業して以来,親と同居して 20 年間にわたりひきこもっているケース ”という記述があるため、ちょっと混乱があるかも知れません。さて 選択肢1は、 要は”若年者は学校や地域若者サポートステーションに任せて、40歳以上の人は別途対策を考える仕組みを作ろうかとアクションを起こす”みたいな感じですね。これは適切なのでしょうか?新たな社会資源を作るという考えは有ってもいいと思いますが、”総合的なひきこもり対策”とは相容れないように思います。

選択肢5の、”支援の必要性が高い場合に限って”も、総合的ではないですよね。そもそも支援の必要性の高さを、誰が判断するのでしょうか。要介護状態という例が出されていますが、他にも支援を要する状態は多くあろうかと思います。

 4 ひきこもり対策は保健師の対応が適切であると考えて,保健センターに対策を任せる。

保健センターが対応すること自体は悪くない”かも”しれませんが、任せてしまうのが総合的な対策にはならないですよね。ひきこもりサポーターであるとか、インフォーマルな資源も活用していきましょうという、ひきこもり対策推進事業の趣旨からも逸脱しているのではないでしょうか。

 2 民生委員児童委員協議会と協働して実態調査を実施する。
 3 ひきこもりの人たちが参加しやすい場づくりが必要と考えて,市内のボランティア組織の会長に相談する。 

消去法で、2個残った選択肢が正答です。まずは調査をするとか、相談するとか、段階を踏んだアクションが正答になる可能性は高いです。

5肢2択の問題は、ケアマネ試験で用いられ、(難しいため)トラウマになっている人もいるかもしれませんが、こと社会福祉士国試の事例問題については、かえって簡単になると思います。(最後の2個のうち、どっちか?というのが無くなる。)

むしろ、最後2つまで絞ってどちらか迷うケースは、実は択一ではなく択二だった、というのを疑うと良いかもしれません。

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