2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第36問 地域福祉 ※訂正あり

問題 36

地域福祉の対象に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。
1 災害対策基本法における避難行動要支援者とは,本人が同意し,提供した情報に基づいて避難行動要支援者名簿に登載された者をいう。
2 「ホームレス自立支援法」におけるホームレスとは,都市公園,河川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし,日常生活を営んでいる者をいう。
3 生活困窮者自立支援法における生活困窮者とは,最低限度の生活を維持できていない者をいう。
4 ひきこもり対策推進事業におけるひきこもりとは,様々な要因の結果として社会的参加を回避し,原則的には 1 年以上家庭にとどまり続けていることをいう。
5 「障害者虐待防止法」における,養護者による障害者虐待とは,身体的虐待,心理的虐待,放棄・放置,経済的虐待の四つのことをいう。


(注)1 「ホームレス自立支援法」とは,「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」のことである。
2 「障害者虐待防止法」とは,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

〇〇〇法に規定された、要支援者の定義を問う問題

消去法でなんとなく正答が導き出せる問題かも?

この問題ですが、それぞれ違った法律において、要支援者として定義されている内容を問うています。これらを全て覚えるのはなかなか大変かと思います。ですが、簡単に捨てないでも良いのでは無いかと。よく読めば、消去法で消していけるものもあると思います。

避難に要する者は、事前登録した人だけなのか?

まず選択肢1。災害対策基本法ですが、” 名簿に登載された者 ”だけを支援すれば良いのでしょうか?ちょっと考えてみればわかるかと思いますが、甚大な被害をもたらす大災害において、人命救助優先をしていくときに、名簿に登録されているか否か?なんて言ってる場合じゃないのではないでしょうか。

ちなみに、法の中での避難行動要支援者とは、高齢者や障害者のうち自ら避難することが困難等特別な支援を要する者のことを言い、そういった方々を災害前から把握しておくことが出来るよう、名簿化することなどは求められています。この部分の引っ掛け問題ですが、ちょっと冷静に考えれば、誤りとしてつぶせる選択肢なのではないかと思います。

最低限度の生活を維持できていない者 =生活保護では?

続いて選択肢3。 最低限度の生活を維持できていない者 は、生保の受給対象者ではないでしょうか。 生活困窮者自立支援法 のそもそもの趣旨は、 最低限度の生活を維持できなくなるおそれのある者へのセーフティネットです。この選択肢も、比較的簡単につぶせる内容かと思います。

なお、セーフティネットとしては 第一のセーフティーネット:社会保険 第二のセーフティネット:生活困窮者自立支援法(最近できた) 第三のセーフティネット:生活保護、みたいな感じというのを覚えておくといいと思います。

障害者のほか、児童、高齢者虐待防止法も併せてチェック

選択肢5です。 身体的虐待,心理的虐待,放棄・放置,経済的虐待と、ここまでは良いですが、性的虐待が抜け落ちてますね。

ついでに、児童虐待防止法、高齢者虐待防止法も一緒に覚えましょう。

児童・・・心理的、性的、ネグレクト、身体的

高齢者・・・経済的、 心理的、性的、ネグレクト、身体的

高齢者虐待のみ、経済的虐待が入っている児童のみ、経済的虐待は無いことに留意しましょう。(2019年6月14日訂正)

経済的虐待の例:親の年金使い込みなど

経済的虐待とは、例えば親の財産を子どもが使い込む、勝手に不動産を処分する等です。私の経験では、年金を子どもが管理して親に渡さない、なんていうケースを見聞きしました。

子どもについて、親が児童手当などをパチンコに使ってしまって給食費未納・・・なんていうのがニュースでみたりしましたが、これは経済的虐待とはされていませんので注意してください。(児童手当の受給者はあくまで監護者たる親だからかな、と考えました)

2択まで減らしたところで、最後は勘で解きました

選択肢2、選択肢4の二択まで持ち込みましたが、最終的には勘で解きました。

まず選択肢4ですが、” 1 年以上 ”というところが、ちょっと怪しいと思いました。こういった数字をいじって間違いを作るのは簡単ですからね。実際、ここは6ケ月が正しいので、選択肢4は誤りです。 ※2019/6/14 知人より、1年では無く、6ケ月というのは社会福祉士受験するなら常識だろ!とお叱りを受けました。私の勉強不足です。が、基本的には細かい解説は”できるときはする”で行きたいと思いますので、気になるときは検索してみてください。自分の目で見たほうが知識として定着しやすいと思います。

一方、選択肢2ですが、 ”都市公園,河川,道路,駅舎その他の施設”というところ。ここが”都市公園、河川”みたいに項目を減らして出してくるケースが考えられます。が、ここで最後の”他の施設”が入っているのがポイントですね。 ”都市公園,駅舎その他の施設”と出題されたとしても、”河川もその他の施設に含まれる”と主張することができます。こういった勘を働かせて、正答の可能性を少しでも高めるのが、試験突破のカギになると思います。

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