2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第29問 育児・介護休業法

問題29

 「育児・介護休業法」において定められた介護休業制度に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。


1 介護休業を取得することができる対象家族には,配偶者と子は含まれない。
2 期間を定めて雇用される者は,雇用の期間にかかわらず介護休業を取得することができない。
3 介護休業は, 2 週間以上の常時介護を必要とする状態にある家族を介護するためのものである。
4 一人の対象家族についての介護休業の申出の回数には,制限がない。
5 一人の対象家族についての介護休業の合計は,150 日までである。


(注) 「育児・介護休業法」とは,「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことである。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

育児・介護休業法に付ついての問題。労働法についての知識も問われる

産業分野に関しての知識は、苦手な方が多いかも知れません。とりわけ、学部生の方で修郎の経験が無いとイメージもわきにくいかも知れませんね。社会人経験があり、社会福祉士を志す方の場合は、会社の就業規則や育児介護規定をご覧になったことがあるかも知れません。また、家族介護の当事者であったり、出産に伴う産休・育休の取得経験有無なども影響してくるかも知れませんね。

いずれにせよ、自ら経験したエピソード記憶は長期記憶として定着しますし、想起もしやすいと思います。そういった強みは活かしていきたいですね。

育児・介護休業法は改正が多いので注意!

育児・介護休業法は改正が多い法律です。したがって、常に知識をアップデートしていく必要が有ります。必要なときに調べれば良いのは確かですが、古い知識で「こうだったはずだ」という思い込みで支援をすると大変なことになる可能性があります。特に今は介護離職ゼロをめざす、ということで、ホットな話題ですね。直近の改正は平成29年(2017年)です。前年の2016年にも改正がおこなわれており、2年続けての改正です。それぞれのポイントは覚えておいてください。

2016年改正 介護休業93日の分割取得ほか

2016年に行われた改正でのポイントは、介護休業 家族一人あたり93日、が分割取得できるようになった点です。強調した部分、一人あたり93日、は絶対に覚えておいてください。このことを知っていれば、選択肢4,5は共に誤りと即断で除外できます。

2017年改正 育児休業2歳まで取得可能

今回の問題では問われていませんが、2017年の改正で、育児休業が2歳まで取得できるようになりました。会社の個別的な規定で、2歳を超えて取得できる制度をもっている場合もあろうかと思いますが、あくまで法律では2歳、と言う点には留意してください。

選択肢を3つまで減らしたあとは、知識と勘でクリアしましょう

1 介護休業を取得することができる対象家族には,配偶者と子は含まれない。
2 期間を定めて雇用される者は,雇用の期間にかかわらず介護休業を取得することができない。
3 介護休業は, 2 週間以上の常時介護を必要とする状態にある家族を介護するためのものである。

まず選択肢1ですが、配偶者を除外する合理的な理由は何でしょうか?若年で要介護状態になることはじゅうぶんにあり得ます。介護保険の第2号被保険者(40~65歳未満)が、介護認定を受けられる16特定疾病というのがありますよね。40歳で脳血管疾患、がん、などに罹患し、要介護状態になることがあります。配偶者がそのような状態になったとき、介護休業がとれなかったらどうなるのでしょうか?介護離職が現実になりかねません。誤りです。

選択肢2ですが、”雇用の期間にかかわらず”と、わざわざ書いてあるのが間違いっぽい雰囲気ですよね(笑)。有期契約労働者は、1.同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること 2.介護休業開始予定日から93日経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと 以上両方を満たす場合に取得できます。後者を問われることはあまりないと思いますが、雇用期間によって取得の可否がわかれるので、選択肢2は誤りです。

残った、選択肢3が正答。

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