2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第23問 福祉社会づくり

問題23 福祉社会づくりに関わる次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ポランニー(Polanyi, K.)の互酬の議論では,社会統合の一つのパターンに相互扶助関係があるとされた。
2 ブルデュー(Bourdieu, P.)が論じた文化資本とは,地域社会が子育て支援に対して寄与する財のことをいう。
3 ホネット(Honneth, A.)が論じた社会的承認とは,地域社会における住民による福祉団体に対する信頼と認知に関わる概念である。
4 デュルケム(Durkheim, E.)が論じた有機的連帯とは,教会を中心とした共助のことをいう。
5 バージェス(Burgess, E.)が論じた同心円地帯理論は,農村の村落共同体の共生空間をモデルにしている。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

見ただけで嫌になる問題。個人的には捨てました・・・

思わず?本音がこぼれましたが、試験に挑戦したときは手も足も出ず、イチかバチかで選びました・・・・それはそうと、この手の問題のポイントは○○(人名)の××(理論等)は、■■である、というパターンで出題されて、1.人名と理論名が違う。2.理論の中身(説明)が間違っている、というパターンが多いですよね。

この問題における、人名と理論は、しっかり一致している

さて、この問題ですが、人名とその論じた理論は、全て正しいです。故に、理論とその説明が一致しているか?を問うている問題です。

個人的には、この問題に割くリソースが有るならば、ウェーバーをしっかり理解する方に振り向けた方が良いと思います。あくまで国試対策、という観点で考えると、厳しい内容だなと思いました。

ただ、これら5人の中で、デュルケムは国試での出題が多い人物なので、しっかり勉強しておくことをお勧めします!

デュルケムの有機的連帯

デュルケームが用いた社会類型の一つで、機械的連帯に対応する。後者は類似した諸個人が圧倒的な集合意識のもとで没個性的な社会結合で結ばれているのに対して、有機的連帯は個性的な異質の諸個人が特定の関係で結ばれる社会結合である。それは、分業に基づく異質の諸個人の機能的差異が織り成す連帯から成り立つ組織的社会であって、集合意識が弱体化し、個人意識が優越する近代社会がモデルである。ここでは集合意識と個人意識の隔たりがますます大きくなり、個人の自律性は大きくなるが、反面、社会と個人の乖離(かいり)が生じてアノミーを生む一因となる。そこから、近代において新しい集合意識を再建することがデュルケームの実践的課題であった。さらに、有機的連帯は機械的連帯の解体ののちに生じ、後者から前者へというのが彼の社会変動の歴史的見通しであった。[田原音和]
『E・デュルケーム著、田原音和訳『社会分業論』(1971・青木書店)』

引用:コトバンク

正直、教科書や、このコトバンクの記事を見ても「何言ってるんだ?」という感じです(個人の感想)。ちょっと整理すると、まず最後段「有機的連帯は機械的連帯の解体ののちに生じ 」ということなので、「機械的連帯→有機的連帯へという社会変動」が有るよ、と言ってます。

「社会分業論」の枠組みの中の用語で有ることを念頭に置くと良い

社会分業論
フランスの社会学者デュルケームの著書。1893年刊行。社会における分業発達の原因をさぐり,その発達によって生じる社会的・道徳的変化を考察する。デュルケームによれば,分業は人口の増大・集中,環節的社会構造の崩壊,交通手段の発達などにともなって進行する。その結果しだいに職能の専門化が進み,集合意識の斉一的な支配が弱まり,社会成員の異質化と個性化が生じる。それは社会の諸単位が異質化しつつ相互依存性を深めていくことを意味するわけで,そこに新たな連帯,〈有機的連帯〉がつくり出されていく。

引用:コトバンク

機械的連帯というのは、「類似した諸個人が圧倒的な集合意識のもとで没個性的な社会結合で結ばれている」としています。 一方、有機的連帯は「個性的な異質の諸個人が特定の関係で結ばれる社会結合である。それは、分業に基づく異質の諸個人の機能的差異が織り成す連帯から成り立つ組織的社会」です。

どういうことかというと、類似した諸個人=職人集団と読み替えると良いでしょう。そういった社会から、分業の発達により、異質の署個人の機能的差異、すなわち原料の調達(仕入れ、製造)、加工、販売といった機能分化していくよ、としており、これが有機的連帯です。

結局の所、言われてみれば「なんだそんなことか」という感じですね。この科目はそのような内容が多いと思います。

それを踏まえて選択肢4を読むと、全くかすってもいないので、誤りです。

正直デュルケム以外は捨てました。

この問題の正答は2ですが、詳細な解説は省略します。冒頭にも書いたとおり、他にリソースを振り向けたいと思います。

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