2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第19問 社会集団
問題19
社会集団に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 第一次集団とは,ある特定の目的のために人為的に作り出された組織である。
2 フォーマルグループとは,企業や官庁のような一定の目的のために成文化された規則と命令系統を持つ組織である。
3 ゲゼルシャフトとは,相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会である。
4 準拠集団とは,共同生活の領域を意味し,典型的な例は地域社会である。
5 コミュニティとは,特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団である。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
頻出問題なので、過去問を集中的に取り組めば得点しやすい設問
この問題は、似たような問題が過去問でよく出ています。また、したがって、しっかり取り組めば得点の可能性が高い部分なので、頑張って覚えると試験対策としては効果的だと思います。とは言ったものの、ややこしいですよね・・・
クーリー、テンニース、マッキーバーあたりが頻出
クーリー
集団の概念を提唱。第一次集団とは、日常的に直接接触しており、相互に一体感や連帯感が共有できているような集団 。第二次集団とは、成員間が間接的な繋がりである集団 (リンクはいずれもWikipediaより引用)
テンニース
ゲマインシャフトとゲゼルシャフト の人ですね。正直言って、1.どっちがどっちかわからない 2.説明の意味がわからない の2要素が揃っているので、苦手な人が多いですよね。もっとも、これは出題者側からすると非常に出題しやすい事項とも言えます。
順番が重要 著書”ゲマインシャフトとゲゼルシャフト”
まず理解の為に、”ゲマインシャフトとゲゼルシャフト”と覚えましょう。何故なら、この順番(ゲマインシャフトからゲゼルシャフト)での変遷をしていく、という考えかただからです。間違っても”ゲゼルとゲマイン”の順番で覚えてはいけません。
ゲマインシャフト =家族・村落など
ゲマインシャフトは、共同世界と訳されます。地縁・血縁といったつながりです。大学の第二外国語でドイツ語とってた人は、マイン=my(英語)なので、マインホームとか関連付けて覚えると覚え安いもようです。
ゲゼルシャフト =会社など
ゲゼルシャフトは、利益社会。会社をイメージするとわかりやすい様です。
家庭的な社会から利益を追求する社会へと変化していく、ということ
愛情だとか血縁といったもので繋がっていた関係性が、利益とかで繋がった社会へと変化していく、ということです。人間の歴史とは、そういうものですよね。そう考えれば、結局、小難しい言葉で説明が書いてあって攪乱(かくらん)してきますが、大した内容じゃないんですね・・・ 。ということで、しっかり覚えましょう。
ここまで説明を読めば、選択肢3の”相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会”はゲマインシャフトだということが理解できるかと思います。
マッキーバー
マッキーバーは、”コミュニティ”と”アソシエーション”をキーワードとして覚えましょう。コトバンクの説明で網羅されているので、一読をお勧めします。
コミュニティーが一定の地域のうえに展開される共同生活を意味するのに対し,アソシエーションはそれを基盤としてそのうえに個々の人間の共通関心に従って人為的,計画的に形成される結びつきである。
引用:コトバンク
選択肢5 コミュニティとは,特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団である。 →これはアソシエーションの説明ですよね。よって誤りです。
フォーマルグループは、インフォーマルサービスから関連付けて覚えると効率が良いかも。
インフォーマル・サービスという言葉はケアマネ研修などに参加したことがある方には馴染みが深いと思います。介護保険サービス(デイサービスや特養等)といった制度化されたサービスをフォーマルサービス、ボランティアといった、制度化されていない社会資源をインフォーマルサービスと言います。ケアマネの役割としては、フォーマルな介護保険サービスだけでなく、インフォーマルな社会資源も活用していきましょう、と浴びるほど研修でやりますね。
ちなみに、このブログのように学校では無くて、無料で試験対策情報を掲載しているホームページもインフォーマルなサービスと言えますよね。
ということで、フォーマルという言葉には”制度化された”みたいな意味があることは理解できたと思います。そこから考えると、選択肢 2 フォーマルグループとは,企業や官庁のような一定の目的のために成文化された規則と命令系統を持つ組織である。 →正答です。
準拠集団について
選択肢 4の準拠集団、についてWikipediaをご参照ください。「かくあるべき」という規範となる集団のことを言います。少なくとも選択肢4の内容とは合致しないのですが、正直なところここは他に正答が明らかなため、消去法で×とする感じでした。