2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第12問 ストレスコーピング
問題12
ストレス対処法(コーピング)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
1 試験の結果が悪かったので,気晴らしのため休日に友人と遊びに出掛けた。これは,問題焦点型コーピングである。
2 食事介助がうまくいかず落ち込んだが,先輩職員に具体的な方法を教えてもらった。これは,情動焦点型コーピングである。
3 事例検討会で発表することになったが,うまくできるか心配になったので深呼吸をした。これは,問題焦点型コーピングである。
4 残業が続き自分一人ではどうにもならなくなったので,上司に仕事の配分の見直しを依頼して調整してもらった。これは,情動焦点型コーピングである。
5 利用者との面接がうまくいかなかったので,新しいスキルを身につけるため研修会に参加した。これは,問題焦点型コーピングである。
コーピングとは、ストレス対処法のこと
現代社会はストレスフルということで、書店に行くとメンタルヘルスやストレスについての本がたくさん並んでいますね。コーピング、と冠した本も多数目にします。試しにamazonで「コーピング」検索をすると、140件ほどヒットしました。そもそもコーピングとは何でしょうか。
coping = 対処
コーピングは、英語では”対処”という意味だそうです。もともとはcopeという単語「何とかやっていく」の名詞形のようです。個人的には馴染みが薄い単語なので、イメージがわきにくかったです。ストレスをどうにかしてやる方法、という感じですね。
コーピングは問題焦点型と、情動焦点型の二種類に大別される
コーピングには二種類有り、問題焦点型と情動焦点型がある。これはポイントですね。この問題の選択肢をみると、全て「○○という行動は、問題(情動)焦点型コーピングである」となっています。
以上のことから、この問題はコーピングの種類と行動のマッチングが正しいものを選択する問題ということができます。
例えば、職場でハラスメントがあったと仮定します。どんな解決方法があるでしょうか。
問題焦点型コーピングは、問題解決に向けて具体的な行動をする
まず問題焦点型コーピングについてですが、こちらは、ストレスが発生している原因を排除し、解決していこうということです。この場合、先ほどの事例。会社でのハラスメントということですが、行為者を処分する、配置転換をする、転職をするといった方法が考えられますね。このように、具体的なアクションを伴うのが問題焦点型コーピングです。
情動焦点型コーピングは、気晴らしといったストレスの軽減方法
情動焦点型コーピングは、気晴らしのようにストレスとの関わり方を考え方や捉え方を変えることにより対応方法です。少し消極的ですが、やはり社会とは難しいもので、先ほどの事例のようにハラスメントへの対処ということでも会社に理解が無いと、まともにパワハラ上司に対応してくれないこともありますし、転職と言っても住宅ローンがあったりすると簡単には辞められなかったりしますよね。ともかく、自分自身の考え方といったストレスへの向き合い方を変えることで負荷を軽減する方法です。
各選択肢解説
1 試験の結果が悪かったので,気晴らしのため休日に友人と遊びに出掛けた。これは,問題焦点型コーピングである。→ × 「気晴らし」は典型的な情動焦点型コーピングです。
2 食事介助がうまくいかず落ち込んだが,先輩職員に具体的な方法を教えてもらった。これは,情動焦点型コーピングである。→ × 先輩に指導を仰ぐという行動は、問題焦点型コーピング。
3 事例検討会で発表することになったが,うまくできるか心配になったので深呼吸をした。これは,問題焦点型コーピングである。 → × 深呼吸=言わば気晴らし。情動焦点型コーピング
4 残業が続き自分一人ではどうにもならなくなったので,上司に仕事の配分の見直しを依頼して調整してもらった。これは,情動焦点型コーピングである。 × 仕事の配分調整という行動は、問題焦点型コーピング。
5 利用者との面接がうまくいかなかったので,新しいスキルを身につけるため研修会に参加した。これは,問題焦点型コーピングである。 → 正答 スキル不足という問題を、研修参加という行動で解決しているので、問題焦点型コーピングで合っています
コーピングについて理解していれば簡単な問題
この問題は簡単でしたね。しっかり覚えておきましょう。