2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第9問 感覚・知覚
問題9
感覚・知覚に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 体制化における閉合の要因は,錯視の一つである。
2 形として知覚される部分を地,背景となる部分を図という。
3 仮現運動は,知覚的補完の一つである。
4 大きさの恒常性とは,網膜に映し出されたとおりに大きさを知覚することである。
5 圧刺激によって光を感じ取る場合,この刺激を適刺激という。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
ゲシュタルト心理学についての問題。
この問題では、ウェルトハイマーのゲシュタルト心理学について問うています。ゲシュタルト心理学と言えば、錯視や錯覚だな、とざっくり覚えておくと良いかと思います。体制化の法則についても一読をお勧めします。
選択肢1 うっかり選んでしまわない。
体制化における閉合の要因は,錯視の一つである。体制化は、錯視が代表格ではありますが、正しくは”知覚”ですね。聴覚にも起こりえます。したがって、視覚に限定している選択肢1は誤りです。
先ほど触れた体制化の法則について記載されたわかりやすいサイトがありました。ご紹介いたします。
選択肢2 ”日の丸の歌”を思い浮かべると理解しやすい
形として知覚される部分を地,背景となる部分を図という。 これは、図と地の説明が逆ですね。これは簡単な覚え方を紹介します。唱歌”日の丸の歌”です。
「白地に赤く 日の丸染めて~」ですね。白い”地”に、日の丸という”図”が描かれています。
選択肢3 仮現→仮想現実と連想して 無理矢理 覚える。
仮現運動は,知覚的補完の一つである。 正答です。
知覚的補完のうち、仮現運動は、現実的には繋がっていないものが、繋がって知覚される。代表的なものが仮現運動、パラパラ漫画ですね。映画や漫画の原理が、この仮現運動です。(他に、主観的輪郭・カニッツアの三角形も抑えておきたい)。ここで問題文が ”知覚的補完”ではなく、”錯視”といったように引っかけてくる可能性がありますので注意してください。
選択肢4 恒常性=変わらないということ。何が変わらないのか?
選択肢4 大きさの恒常性とは,網膜に映し出されたとおりに大きさを知覚することである。
恒常性というのは、変わらないことです。恒常性(ホメオスタシス)という概念が医療分野でも出てきますので、混同しないように、むしろ関連付けて振り返りをしておきましょう。
さて、大きさの恒常性で有名なのは、月の錯視ですね。地球から38万キロという距離は変わらないのに、頭上の月と地平線知覚の月は違って見える。網膜に映し出される像は同じにもかかわらず、大きさを違って知覚しているので、この選択肢は誤りです。
選択肢5
5 圧刺激によって光を感じ取る場合,この刺激を適刺激という。 この選択肢だけ、毛色が違いますね。うっかり選ばないようにしたいところですね。
適刺激=感覚器に適した(マッチした)刺激
敵刺激、の意味を正しく理解しておく必要が有ります。光を感じるのは→目、臭いは→鼻、といったように、それを感じ取る感覚器と刺激が正しくマッチングした刺激が適刺激です。それを踏まえて選択肢を見てみると、圧刺激を感じるのは、触覚・皮膚感覚ですね。光であれば、通常目で感じ取ります。したがって、この選択肢は誤りです。