2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第4問 健康日本21
問題4
健康に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 一次予防とは,疾病の悪化を予防することである。
2 日本の特定健康診査は,メタボリックシンドロームに着目した健康診査である。
3 「健康日本21(第二次)」の基本的方向は,平均寿命の延伸である。
4 現在,日本の死因の第1位は心疾患である。
5 WHOが提唱したヘルスプロモーションは,ヘルシンキ宣言において定義された。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
健康診断の意味、一次予防・二次予防の違いを理解することが重要
皆さん、健康診断を受けていますか。会社に雇われて仕事をされている方は、まず採用時、雇い入れ時健康診断を受ける必要が有ります。これは 「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならない」と労働安全衛生施行規則にて定められ、使用者(会社)の義務です。また、同様に年一回の健康診断も義務づけられています。 現在会社で健康診断をうける機会が無い方は、法令違反となっている可能性があります。ご留意ください。
さて、健康診断は、健康の保持増進を目的として行われます。ここで、予防という考えが出てきます。
一次予防は、そもそも病気にならないような取り組み
生活習慣の見直しや、教育、予防接種など、病気にかからないような取り組みを一次予防と言います。私が以前努めていた病院では、B型肝炎ワクチンの接種を会社負担で受けられました。インフルエンザ予防接種の補助を行っているところも多いかと思います。
二次予防は、病気の早期発見・早期治療を行う。
健康診断等によって、病気の早期発見・早期治療を図っていくことが二次予防です。選択肢1は、二次予防の事をさしているので、誤りとなります。
特定健診は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目
特定健康診査とは
引用元:協会けんぽHP
生活習慣病といわれる糖尿病や高血圧症、脂質異常症は、最初は症状がなくても心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気につながり、生活の質の低下や医療費の増大を招きます。
特定健診は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目してこれらの病気のリスクの有無を検査し、リスクがある方の生活習慣をより望ましいものに変えていくための保健指導を受けていただくことを目的とした健康診査です。
選択肢2は、もうそのものズバリですね。正答です。ちなみに、よくメタボ=肥満というような使い方を日常でしている方がいらっしゃいますが、この認識は正しく有りませんのでご留意ください。
健康日本21(第二次)は、既に伸びている平均寿命の維持が目的
健康日本21は、正直かなりボリュームがある中身です。2000~2012年の健康日本21、それに続く健康日本21(第二次)に分かれていますね。大まかな中身としては、生活習慣病等を予防していきましょうね、という事なんですが、選択肢の「平均寿命の延伸」ではなく、「健康寿命の延伸」が正解です。すなわち、単に長く生きる事では無く、健康な機関を長く、ということですね。
日本の死因第一位は、悪性新生物(がん)です。
選択肢4、一位はがんですね。心疾患は第二位となってます。続いて、第三位が肺炎です。
ヘルシンキ宣言=人体実験に対する倫理指針
ヘルシンキ宣言は、ドイツの人体実験への反省に基づく、倫理的な指針です。世界医師会で採択された内容ですので、選択肢5はまるでデタラメな内容です。医療畑の人だと、即除外できる選択肢かと思いますが、人名や耳慣れないカタカナ語だと、それだけで混乱してしまう方も多いと思いますし、実際そのような撹乱を目的とした選択肢かと思います。インフォームドコンセントの関わりで出てくる用語でも有りますので、しっかり抑えておきたいところです。