令和元年でExcelの改元対応を考える(随時加筆予定)
※この記事を書いたのち、公式に対応がされています。下記記事をご参考にしてください
介護現場では元号を使うことが多いです。
介護・福祉の現場では元号表記を使うケースが多いかと思います。理由は、公費が入っているから(介護保険、障害者自立支援給付費等)というケースと、そもそも自治体の事業として行っている(保育)ケース等が有ります。
保育の実施主体は市町村
保育士試験対策にもかかわって来る部分ですが、新制度の実施主体は市町村です。大府市のサイトがまとまっており、わかり安いので理解が参考にしてみてください。
行政へ届け出書類を出すことが多い
公的機関との関わりが深い介護・福祉業界ですが、その提出書類も元号表記を求められる事が多いかと思います。京都府のページにも届け出様式が多数掲載されていますが、1ページ目右上に日付を入れる欄がついている事が多いですね。特に注釈が無ければ、原則元号表記を求められます。私は何も知らずに西暦で書いて提出したら、訂正印を求められ、泣く泣く持って帰ったという経験があります。(この手の申請書類は、日付未記入で持参して、現地で最後に記入する事もよく有りますね)
西暦表記を認める自治体も
2019年4月17日付け 中日新聞一面記事で、愛知近県・市町村の対応状況が掲載されていました。対応は自治体によってまちまちですが、原則元号としている自治体も多く、一気に流れが西暦標記へ、とはならないような印象です。
実務(現場)での影響は?
最も影響が大きく、かつ対応が大変なのはExcelでは無いでしょうか?介護保険請求ソフトや、銀行や行政との関わりという点では財務・労務関係のソフトも影響が甚大ですが、それらはベンダーが意地でも対応してくるものと思われます。介護伝送ソフトも改元対応のアップデートを4月26日提供予定とのことです。忘れずに対応しておきたいところですね。ところで4月26日ということは、10連休の直前配布と言うことですね。今年は国保連合会への介護保険請求締め切りも特例で5月13日となるとのことです。今からできる準備は万全にしておくべきでしょうね。ITシステムの改元対応は事前に必ずチェックしておきましょう。
また、通常であればレセプト(介護報酬請求書、明細書)の提出期限は5月分は10日(5月10日)となります。ただし10連休があるため、請求事務を行うスタッフの休暇等により間に合わない(非常に厳しい)ケースも出てくると考えられることから、厚労省は「レセプトの提出期限を5月13日まで延長する」考えを示しています。ここに間に合わなかった場合には、翌月分(6月分)請求扱いとなります。
引用元:メディ・ウォッチ
ちなみに、岐阜県国保連合会のページですが、様式記載例も現在は平成となっていますが、これらも全て令和に差し替えていく作業をしていくことになるのでしょう。ここで留意いただきたいのですが、利用者向けの記入例等を作成している場合、その修正作業が必要ということです。ケアマネ等で、申請代行をしている場合など必要かも知れません。元号がプレ印刷された様式を行政が用意している場合は、差し替えが必要です。
改元:令和をExcelで使用するための考え方
Excelについては、Microsoftが対応を明言しています。
マイクロソフトでは、日本の新元号への対応の重要度は高いと考えており、全社態勢でソリューションの準備に取り組んでいます 。
サポート ライフサイクル ポリシーの一覧に記載されている、影響を受けるほとんどの製品で新元号への対応を予定しています。特定の製品の情報については、以下のサポート情報の記事をご覧ください。製品のサポート タイムラインについても、サポート ライフサイクル ポリシー のページでご確認いただけます。
2019 年 4 月 1 日に新元号の名称が発表されました。弊社のエンジニアリング チームは、段階的に実稼働環境用の更新プログラムをリリースしていきます。完了するまでに数か月程度かかることがあります。このアプローチは、このプロセス中に発生する可能性のある技術問題の解決に必要な時間を考慮に入れています。弊社のサポート チームが、プロセス全体を通してお客様をサポートします。
引用元:MicrosoftHP
気をつけていただきたいのは、サポートライフサイクルポリシーのくだりです。簡単にいうと、office2007はサポート対象外ということですね。古いパソコンを使っている場合、インストールされているofficeが2007というケースもあるかも知れません。その場合は、公式なサポートは受けられませんので更新を検討するか、力技での対応となります。本稿では力業での対応の紹介は行いません。また、サポートの切れたoffice製品を使い続けることはセキュリティ上のリスクが有りますので、推奨いたしません。
具体的な改元対応方法
対応1 更新プログラムの適用
MicrosoftUpdateで更新プログラムが配信される予定です。→配布開始されました!
それらを順次適用する、というのが基本の対応となります。問題は、私の経験上各事業所にPCが複数有るとずっと更新されていないPCが存在するケースが有ります。それらを忘れずに更新してやりましょう。そして、この機会に自動更新を設定するべきですね。
オフライン環境で利用している場合
私は医療機関で働いていたことがありますが、セキュリティ対策ということでインターネット接続を分離していました。そのような環境ではどうするのでしょうか。こちらをみてみましょう。
2019 年 5 月 1 日より新元号ならびに新元号による暦が開始されます。
引用元:Windows 用の日本の新元号対応更新プログラムについて – KB4469068
マイクロソフトは、この変更の準備を進めており、通常の更新プログラムを公開する流れの一部として更新プログラムを毎月 発行する予定です。スタンドアロン パッケージとして提供する予定はありません。’
えっ・・・・どういうことでしょうか。追記したいと思います。
対応2 ”日付”のデータ形式を確認する
Excelで日時を入力して管理しているケースは多いかと思います。しかし、その”意味”を正しく理解している人はどのくらい居るのでしょうか?
Excelのセルに入力できるデータは、大まかに分けると3種類です。1.数字 2.文字列 3.シリアル値です。
C列は、それぞれA列+B列を合計しています。セルC1には、A1+B2ですから1+2=3が出力されています。2行目は、”りんご+2”ということで、文字+数値の計算でエラーとなっています。気を利かせて”りんご2”となってくれても良いような気がしますが、それはExcel上ではエラーです。(同様の結果を得たい場合は、“=A2&B2″という式にすれば良いです。
最後にシリアル値ですが、時間の計算をするための仕組みです。24時間=1として、計算をします。この例の場合、12:50+2=2.534・・・と出力されていますが、どういうことでしょうか。シリアル値の考え方は、24時間を1とする、と先ほど述べました。この計算は、12:50+2(掛ける24時間)=12:50+48時間という意味となっています。
さて、ここで今一度考えてみましょう。そもそも12:30とは何でしょうか?これを入力した人は”12時30分”という日時のつもりで入力したかも知れませんね。しかし、このデータはExcel上では”12時間30分”という時間のデータとして扱われています。これがシリアル値です。その前提で、C3に出力されている2.534・・・をもう一度考えましょう。まず整数部分の”2”ですが、これはB2で足された2です。よって、A2の元データは小数点以下、0.534・・・です。さて、もう一度先ほどの説明を繰り返します。 シリアル値の考え方は、24時間を1とする、でしたね。12時間30分を24で割ってみましょう。時間での計算だとわかりにくいので、分に換算します。
12時間50分= 770(分) 24時間=1,440(分) 750÷1,440=0.534・・・
如何でしょうか。Excel上では自分の意図とは異なったデータの扱われ方をしていても「結果オーライ」と言うことがあります。また、時間の計算はとっつきにくい反面、シリアル値の考え方をしっかり理解すればとても便利です。また改めて、解説したいと思います。
話がそれてしまいましたが、日にちの考え方について。A1+B1の計算結果、C1では”平成31年4月5日の60日後として、平成31年6月4日を返していますが、実際には令和元年となって欲しいところです。もっとも、これは表現上は誤っていますが、同じ日を指し示していると言う点では間違っては無いですよね。表示形式を 西暦にすれば2019年6月4日になります。
問題は、A2です。これは”文字列”で日にちが入っているため、エラーとなっています。りんご+60とやってることは同じです。
3行目を追加してみました。A3は文字列で平成の日付が入っています。これも同様に、文字列+60とやってることは同じです。数値の計算のため、エラーとなっています。このような、文字列が無いかを探していく必要が有りますね。もしあれば、修正していきましょう。
対応3 関数またはVBAを使用している
TEXT関数や、VBAを使用しているケースで問題となり得るかと思います。これは複雑な部分ですので、後日追記もしくは今回は説明を割愛したいと思います。当該ファイルを作成した方に対応を求めていく必要が有るかも知れません。
ソフトの更新と、計算結果の検証をお忘れ無く!
基本の対応は、Excelをはじめとしたoffice製品の更新(Microsoft Update)となります。特にご注意いただきたいのが、先に書いたようにoffice2007はサポートが切れており、令和にも対応されない見込みなので、買い換え等更新をお勧めします!
また、日にちの計算の場合、計算結果が正しいかどうかの検証(場合によっては手計算)をすることをオススメします。