2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第119問 福祉サービスの経営(ガバナンスとコンプライアンス)

問題119 福祉サービスの経営に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。


1 CSR(Corporate Social Responsibility)は,福祉サービス事業者には求められない。
2 CSV(Creating Shared Value)とは,企業や法人の価値を共有するために情報開示を進める概念である。
3 バランス・スコアカードとは,財務面の評価手法である。
4 コンプライアンスを達成するには,ガバナンスが重要である。
5 福祉サービスの改善活動であるPDCAには,現場職員が関わらないことが望ましい。

引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

横文字で攪乱(かくらん)してくる感じ?内容的には難しく無いと思います

福祉サービスの経営・・・ということで、経営者目線でよく使われている言葉が出てきています。日本経済新聞や、その他新聞なんかを読む週間のある方だと、比較的簡単に解ける問題では無いかと推察します。

4 コンプライアンスを達成するには,ガバナンスが重要である。

正答は、こちらですね。ここ10年くらいでしょうか?しきりにガバナンス、コンプライアンスという横文字を使うようになったのは・・・。
新聞記事なんかにはしょっちゅう登場して、当初はあまり意味がわかりませんでしたが、最近はすっかり市民権を得たような気がします。

ガバナンス・・・内部統制
コンプライアンス・・・法令遵守、と訳されていますね。

わかりやすいのは、まずコンプライアンスの方でしょう。”法令遵守 ” 、と訳されることが多いですね。
社会福祉施設を運営して行くにあたって、法令遵守はとても重要です。例えば、人員配置基準など・・・。
看護職員の配置が義務づけられている事業所において、その配置が無い場合・・・。報酬の減算等が必要になったりしますが、もしも退職者のタイムカードを偽造する等して、人員を満たしているように見せかけて報酬を満額請求していたら・・・・。いわゆる典型的な不正請求ですね。
介護保険サービスにおいては、法令遵守責任者の選任が必要です。現在何らかの介護サービスに勤務されている方は,自事業所の法令遵守責任者を確認してみては如何でしょうか?

一方のガバナンスは、”内部統制”と訳されることが多いです。こちらの方が理解しにくかったですね。
例えば、利用者のお金を管理する会計の担当者が、通帳と印鑑の全てを握っていたとしたら・・・・。お金の引き出しは自由自在にできてしまうことになります。魔が差してしまうこともあるかも知れませんね。
印鑑と、通帳を別の人間が管理して入れば・・・。両者が結託しないとお金は引き出せません。
これは単純な例ですが、相互牽制などにより、不正を抑止したりするような組織を作っていくことがガバナンスとなります。

コンプライアンスのところで出ていた、看護職員の水増しなどは、誰かが”おかしいんじゃないの”というような牽制が働けば、防ぐことができる可能性が高まります。そのような組織風土を作っていくことはとても大切で、”コンプライアンス達成にはガバナンスが重要”と言えます。

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です