2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第116問 ソーシャルワークの記録

問題116 ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。


1 ソーシャルワーカーの判断や主観的な解釈を含めず,客観的な事実を記述する。
2 説明体は,事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。
3 実践の根拠と証拠を示し,援助の評価にも活用される。
4 SOAP方式で記録する場合,Aはソーシャルワーカーが行う今後の援助計画のことである。
5 クライエントに不利益となるような情報を記載しないようにする。

引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

ソーシャルワークの記録について

1 ソーシャルワーカーの判断や主観的な解釈を含めず,客観的な事実を記述する。

客観的事実を記録していくことは、もちろん大切です。しかし一方で、ソーシャルワーカーの今後の援助方針であったり、観察したうえでの見立てといったものも、相談支援の記録として必要な物となってきます。”ソーシャルワークの記録として”最も適切な回答かと言えば、必ずしもそうとは言えないと思われます。

2 説明体は,事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。

説明体は、事実についての説明や解釈を記述する、と言う点は合っていますね。問題は、クライエントによるものではなく、ソーシャルワーカーによる、解釈を記述していくと言う点において異なっています。

3 実践の根拠と証拠を示し,援助の評価にも活用される。

選択肢1にあったように、事実に基づいた記述をしていくことは、原則として有ります。何故それが必要なのかというと、そのうえで、援助の評価に使用していくためですね。チームアプローチをしていくにあたっても、個人の主観のみに基づいた記録では、困ってしまいますね。この選択肢が正答となります。

4 SOAP方式で記録する場合,Aはソーシャルワーカーが行う今後の援助計画のことである。

SOAP形式は、主に医療機関のカルテで使用されている形式です。

  • S(subjective)主観的情報  「関節が痛い、高熱があります」
  • O(objective) 客観的情報  「体温39℃」 インフルエンザ検査 陽性
  • A(assessment)評価    「インフルエンザ」
  • P(plan)計画  薬の処方、出勤停止

今後の援助計画は、”P”となりますので、本選択肢は誤りです。SOAPはカルテを見たことがないとイメージがわかないかも知れませんが、試験でもよく出題されていますので、覚えておきたいですね。

5 クライエントに不利益となるような情報を記載しないようにする。

クライエントに不利益なことであっても、客観的事実は記載する必要が有ります。記録は将来訴訟における証拠となりうる者です。意図的に情報を書かないことは、隠蔽と見なされる可能性もありますし、クライエントの支援にも支障をきたすことになる可能性が有りますね。

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