2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第111問 ターミナルケア

問題111 事例を読んで,G医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応についての次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。


〔事 例〕
G医療ソーシャルワーカーは,末期がんのHさん(54 歳)の主治医から,「患者と夫には,今後は積極的治療ではなく緩和ケアが望ましいことについて説明済みである。緩和ケアができる病院を探してあげてほしい」との電話を受け,Hさんの夫と初回面接を行った。夫は面談室に入るなり,「誰だあなたは。この病院はどうして病人を見放すんだ」と声を荒げた。


1 夫に対してその態度を改めるよう促す。
2 夫に病状の説明を行う。
3 夫の怒りを受け止め,気持ちを聴く。
4 夫との面談を切り上げ,夫以外のキーパーソンを探す。
5 ソーシャルワーカーはどのようなことを支援するのかについて説明する。

引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

事例の2つ選択は、むしろボーナス問題かも・・・

医療機関のMSWという設定。ターミナルの患者と家族の対応です。MSWとして活躍したいという方は多いでしょうから、間違えていられない問題ですね。この問題も、とても簡単だと思います。

1 夫に対してその態度を改めるよう促す。

これはもう、夫にケンカをうってますね。怒っている夫に、ガソリンをぶっかけるようなものですから、この後には大炎上が待っているでしょう。 当然 、適切な選択肢とは言えません。

3 夫の怒りを受け止め,気持ちを聴く。

対比すると一目瞭然、当然、こちらの対応が適切だとわかりますよね。事例問題では傾聴する、いったん気持ちを受け止める的な選択が正答になりやすいです。

一方、障がい者や児童に対する虐待の疑いが有る場合など、疑いの段階で通報義務が有る事例については、事実確認等より通報が優先されるケースの出題がありえますので、そこは注意してください。

2 夫に病状の説明を行う。

これは、思わず選んでしまいそうな引っかけかと思います。問題文に”積極的治療ではなく緩和ケアが望ましいことについて説明済み”とありますので、今さら病状の説明をあらためてする必要は無いと思われますし、もし必要なら医療専門職(医師)の職域ですね。

4 夫との面談を切り上げ,夫以外のキーパーソンを探す。

この選択肢の内容も、ひどいですね。説明は不要では無いでしょうか?

5 ソーシャルワーカーはどのようなことを支援するのかについて説明する。

この選択肢は、消去法で選択するような感じでした。問題文中に ”誰だあなたは。” みたいな記述があるので、ソーシャルワーカーの役割について話す、というのはまっとうな対応ですね。ただ、この台詞から察するに、夫はかなり不安定な状態であることが読み取れますね。

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です