看取り専門ホームは迷惑施設なのか?多死社会のあり方
地域包括ケアのあり方も問われている。NIMBYとは?
看取り専門の施設について、地域住民が反対をしているという記事が話題になっています。先日も、東京青山の児童相談所が話題になっていましたね。
このような 「社会として必要性は認めるが、自分の周辺には作って欲しくない」 問題は歴史が古く、NIMBYと呼ばれています。
NIMBY(ニンビー)とは、英語: “Not In My Back Yard”(我が家の裏には御免)の略語で、「施設の必要性は認めるが、自らの居住地域には建てないでくれ」と主張する住民たちや、その態度を指す言葉である。日本語では、これらの施設について「忌避施設」「迷惑施設」[1] 「嫌悪施設」[2]などと呼称される。
引用元:wikipedia
過去にゴミ処理場、火葬場などの新設にあたり住民の反対運動が起きていたニュースを想起いたしました。いずれも生活していく上で無くてはならない公的施設であり、反対する方もゴミ処理場の恩恵は享受しているものと思われます。しかしながら、近隣に作られるのはゴメンだよ、ということですね。
忌避される施設 理由とその傾向
生活に欠かせない普遍的な公共インフラ
ゴミ処理場、火葬場の場合は臭気、ゴミ処理車往来による交通量の増加、渋滞、それに伴う地域イメージの低下、地価の下落などかな、と推察いたします。 いずれも具体的且つ現実的に起こり得る内容であり、反対するのも理解できなくも無いかな、というのが私の印象です。また、これらの施設に共通するのは「概ね住民誰もがその恩恵を享受している施設」と言えます。
社会福祉施設
今回挙げられた看取り施設、はここに該当します。過去報道された事例で申し上げると、保育所、児童相談所、障害者施設なども該当します。これらの施設に共通するのは「反対運動をしている方は当該施設の(その時点での)当事者では無いケースが多い」と思われます。
いつか来た道 いずれ行く道
高齢者・障害者といった介護現場で働く人にはイメージしやすいかと思いますが、私たち人間は本当に弱い生き物です。昨日まで元気だった方が、急に事故・病気・加齢などで障害状態・要介護状態になる可能性がじゅうぶんあります。そのような意味で、私たちの一寸先は闇なのです。だからこそ、介護保険や障害者総合支援法といった法律も整備され、多種多様なサービス、施設ができ、運用されています。そのような施設の恩恵を受けたいと思ったとき、過去の自分が反対したがために整備が遅れた、自分の身近に整備されていなかったことを悔いるときが来るかも知れません。しかし、その時ではもう遅いのです。
件の施設については、ニュースを見る限りでの断片的な状況から把握できることは限られているという前提ですが、事前の協議がじゅうぶんにされていたのか?など、事業者側の問題は無かったのか?といった点も気になるところです。
ダイバーシティが叫ばれる現代日本ではありますが、まだまだ難しい問題が多いというのが実感です。障害分野で働く方は「障害者差別解消法」が施工されたとしても、周知・理解が広まっていないと感じられているのでは無いでしょうか。
その啓蒙をしていくことも、やはり私たち現場で働く人たちに課せられた使命の一つかな、と思います。
オススメ書籍! 「 これならわかる〈スッキリ図解〉障害者差別解消法」
障害者差別解消法の理解を深める本として、翔泳社刊 「これならわかる〈スッキリ図解〉障害者差別解消法」がオススメです。
本書は、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」について
引用元:翔泳社HP 書籍紹介
成り立ちや法律の内容、具体例などをやさしく解説しています。
福祉に携わる方や、福祉資格を取得しようとしている学生さん、
そのほか行政や民間企業で対応を考える方や窓口になる方、
また、広く一般の方にも読んでいただける内容となっています。
このシリーズは障害者総合支援法についての書籍もありますが、特に初学者に非常にわかりやすくまとまっています。そちらも含め、障害分野での勤務がはじめて、という方に広くオススメしたいと思います。