2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第109問 児童養護施設の退所に向けた援助

問題109 事例を読んで,児童養護施設のE家庭支援専門相談員(社会福祉士)の退所に向けた援助に関する次の記述のうち,適切なものを2 つ選びなさい。


〔事 例〕
児童養護施設に入所しているFちゃん(11 歳,女児)は,母親の引取り希望をはじめのうちは喜んでいた。しかし,週末の一時帰宅を繰り返すうち,母親と二人で暮らすことの不安をE家庭支援専門相談員に訴えるようになった。


1 E家庭支援専門相談員が方針を考えて決定するので,Fちゃんは心配しなくてよいと伝える。
2 Fちゃんが不安を訴えていることを児童相談所に報告し,今後の援助について連携を図る。
3 母親の意向を大切にするよう,Fちゃんを励ます。
4 家に帰る計画についてどうするかを一緒によく考えていこうとFちゃんに伝える。
5 今の不安は退所する時には誰でも感じることだから考えなくてよいと伝える。

引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

家庭支援専門相談員とは

家庭支援専門相談員とは何か?ということを理解して起きたいですね。問題文では”児童養護施設の対処に向けた・・・”ということで、児童養護施設に配置が義務づけられています(その他、乳児院等にも配置)

第四十二条 児童養護施設には、児童指導員、嘱託医、保育士(特区法第十二条の四第五項に規定する事業実施区域内にある児童養護施設にあつては、保育士又は当該事業実施区域に係る国家戦略特別区域限定保育士。第六項及び第四十六条において同じ。)、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士及び調理員並びに乳児が入所している施設にあつては看護師を置かなければならない。ただし、児童四十人以下を入所させる施設にあつては栄養士を、調理業務の全部を委託する施設にあつては調理員を置かないことができる。2 家庭支援専門相談員は、社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者、児童養護施設において児童の指導に五年以上従事した者又は第十三条第三項各号のいずれかに該当する者でなければならない。3 心理療法を行う必要があると認められる児童十人以上に心理療法を行う場合には、心理療法担当職員を置かなければならない。

引用: 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準

さて、この問題は事例問題です。適切なものを2つ選ぶ問題となっていますね。

3 母親の意向を大切にするよう,Fちゃんを励ます。

これは、ついつい選んでしまいそうな引っかけですね!Fちゃんを励ますのは良いと思いますが、”母親の意向を大切にするよう”というのは、ちょっとおかしいのではないでしょうか?Fちゃんが入所するにいたった経緯が書いてないのでわかりませんが、もしも母親による虐待が原因だったとしたら、どうでしょうか?母親の意向を尊重!と言ってしまって良いのでしょうか。焦って選ばないようにしたいです

1 E家庭支援専門相談員が方針を考えて決定するので,Fちゃんは心配しなくてよいと伝える。
5 今の不安は退所する時には誰でも感じることだから考えなくてよいと伝える。

これらも、事例問題によくある感じの誤りですね。 Fちゃんの意向を無視して、相談員が突っ走っていく選択肢は,当然に誤りです。

消去法でも、普通に考えても、常識的な対応はこの2つ

2 Fちゃんが不安を訴えていることを児童相談所に報告し,今後の援助について連携を図る。
4 家に帰る計画についてどうするかを一緒によく考えていこうとFちゃんに伝える。

児童養護施設の家庭支援専門相談員には、児相と連携していくことが求められています。また、要支援者のFちゃんの意向を確かめながら支援していくのは、基本ですよね。簡単な問題だったと思います。

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