2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第97問 救護施設のソーシャルワーカー

問題97 事例を読んで,H生活指導員(社会福祉士)によるこの時点での対応として,適切なものを2つ選びなさい。


〔事 例〕
H生活指導員の担当している軽度の知的障害のあるJさん(32 歳,女性)は,U救護施設に入所している。Jさんは家族との関係が良好ではなく,求職活動がうまくいかないなど嫌なことが重なり,何もする気にならないと意欲を失っている。


1 Jさんの担当を熟練した他の生活指導員に交代するよう,施設長に依頼する。
2 Jさんの今までの努力を認め,思いを聴き,今後の対応について一緒に考える。
3 Jさんのニーズを包括的に検討するため,ケースカンファレンスの開催を求める。
4 職員会議の場で,Jさんの支援に関わる職員の選定を自分に任せてほしいと提案する。
5 Jさんの身元引受人である家族に連絡を取り,今後の方針を委ねる。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

救護施設について

救護施設は、社会福祉法第二条に規定する、第一種社会福祉事業です。

第二条 この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
2 次に掲げる事業を第一種社会福祉事業とする。
一 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業

出所:社会福祉法

条文を見ると、さらに、救護施設は生活保護法に規定されている施設で有ることがわかります。

第六章 保護施設
(種類)
第三十八条 保護施設の種類は、左の通りとする。
一 救護施設
二 更生施設
三 医療保護施設
四 授産施設
五 宿所提供施設
2 救護施設は、身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。

出所:生活保護法

ということで、この事例の Jさん は生活保護受給者であることがわかります。その前提で、求職活動を行っているわけですね。選択肢を見ていくと、明らかに除外できる物がいくつかありそうです。

 1 Jさんの担当を熟練した他の生活指導員に交代するよう,施設長に依頼する。
 5 Jさんの身元引受人である家族に連絡を取り,今後の方針を委ねる。 

この2つは、方向性が似ていて、いずれも相談員としての職務放棄のような感じですよね。選択肢1は、自分から他の人に担当変えて欲しいと言っています。選択肢5は、身元引受人に今後を委ねてしまうよ、ということで、相談員としてはバンザイしてしまっていることになります。家族と一緒に、今後の方針を検討する、なら正答となったのでしょうが・・・。

ということで、この1と5は誤りです。この問題は、 適切なものを2つ選ぶ問題なので、あと1つ誤りを見つけることができれば正答できます。

 2 Jさんの今までの努力を認め,思いを聴き,今後の対応について一緒に考える。
 3 Jさんのニーズを包括的に検討するため,ケースカンファレンスの開催を求める。
 4 職員会議の場で,Jさんの支援に関わる職員の選定を自分に任せてほしいと提案する。 

残った3つの選択肢を並べてみます。だいたいこの手の事例問題では無難な選択肢が正答となりやすいです。無難な選択肢とは、

  • 利用者の思いに寄りそう
  • 他職種や、社会資源との連携をはかる
  • いったん、情報を整理する

こういった選択肢のことです。

さて、それを踏まえて、明らかに異質なのが・・・

 4 職員会議の場で,Jさんの支援に関わる職員の選定を自分に任せてほしいと提案する。  

こちら。他職種との連携は選ばれやすい、と書きましたが、その逆ですね。相談員がケースに責任をもつと言うことはもちろん必要ですが、” この時点での対応 ”としてはそぐわないのでは無いでしょうか?

以上、消去法で、

 2 Jさんの今までの努力を認め,思いを聴き,今後の対応について一緒に考える。
 3 Jさんのニーズを包括的に検討するため,ケースカンファレンスの開催を求める。

模範解答的なこの二つが正答となります。

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