2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第96問 スクールソーシャルワーカーのチームアプローチ

問題96 事例を読んで,Fスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)のチームアプローチに基づいた対応として,適切なものを2 つ選びなさい。

〔事 例〕
小学生のG君( 9 歳,男児)は,同じクラスの児童から,「気持ち悪い」と言われたり,仲間はずれにされたりするなどのいじめを受けていた。G君の友人から学級担任に,「G君がいじめられている」と心配が伝えられたため,学級担任が休み時間や
放課後の様子を観察したところ,いじめの事実が明らかになった。学級担任は校長に報告し,その後,教育委員会からFスクールソーシャルワーカーが派遣されることになった。


1 いじめた児童の保護者に連絡し,G君への謝罪を求める。
2 警察署に通報し,いじめた児童を指導するために援助を求める。
3 加害児童を他校に転校させるよう管理職に助言する。
4 児童が相談しやすい環境づくりについて学級担任の相談に乗る。
5 情報収集とアセスメントをもとに,校内ケース会議で対応を協議する。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

スクールソーシャルワーカー いじめ事例

スクールソーシャルワーカーとしての事例問題。選択肢を2つ選ぶ点に気をつけてください。

まず、スクールソーシャルワーカーは、非常勤での勤務になるものと思われます。そういった中での関わり方は、基本的にコンサルテーションと言うこととなり、チームとしての関わり方が求められます。

そのような前提で選択肢を見ていくと、自ずと答えがわかるのでは無いでしょうか。

 4 児童が相談しやすい環境づくりについて学級担任の相談に乗る。
 5 情報収集とアセスメントをもとに,校内ケース会議で対応を協議する。 

この2つが、正答となります。

まず選択肢4について。前述の通り、スクールソーシャルワーカーは非常勤での勤務が一般的であって、ソーシャルワーカーの不在時で有っても対応ができるように、現場の一線で対応する教員の、対応能力を高めていく、というのが重要となってきます。したがって、学級担任へのコンサルテーションは、業務の柱となります。

また、選択肢5の、構内ケース会議での対応協議も、チームアプローチの実践という意味では模範的な解答となっています。

ソーシャルワーカーが”やり過ぎる”選択肢は全て誤り

前述の通り、現場で対応するのは教員の仕事です。医療機関や他の相談機関における相談員の仕事と大きく違う点と言えるでしょう。

  1 いじめた児童の保護者に連絡し,G君への謝罪を求める。 

保護者にソーシャルワーカーが直セル連絡するという事は基本的にありません。それは教員の仕事です。

 2 警察署に通報し,いじめた児童を指導するために援助を求める。 

これも同様ですね。場合によっては、警察に通報することは有り得るとは思いますが、校長・教頭の仕事です。いきなり学校の管理者を飛び越えて、ソーシャルワーカーが警察に電話すると言うことは、よほどのこと(学校側がいじめを隠蔽しているなど)が無い限り、あり得ないでしょう。

 3 加害児童を他校に転校させるよう管理職に助言する。 

これは、なんとなく素人考え的にはやりたくなってしまいそうですが、加害者を転校させて解決をはかるというのは、いかがな物でしょうか。被害者のケアも必要ですが、加害者にも何らかの発達や家庭環境に問題を抱えているかも知れず、そういったケアもスクールソーシャルワーカーには求められているのでは無いでしょうか?

以上のように、比較的簡単な問題かとは思いますが、スクールソーシャルワーカーの仕事の特徴をつかむことができればと思います。

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