2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第95問 アドボカシー
問題95 アドボカシーに関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。
1 ソーシャルワーカー自身の利益のために,サービス利用者の権利を擁護することである。
2 サービス利用者の主体的な生活を実現するために,その意思や権利を代弁することである。
3 サービス提供機関が利用者に訴えられた場合に,サービス提供機関の権利を代弁することである。
4 自らの意思を示すことが困難なサービス利用者の権利を,その家族や友人の判断に基づいて擁護することである。
5 サービス利用者の主張と,利害の対立する相手方の主張とを中立的な立場で調整することである。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
アドボカシーについて 引っかけに惑わされないように!
アドボカシーについてです。権利擁護、代弁というような訳しかたをよくされており、社会福祉士を目指す人で知らない人は居ない用語では無いでしょうか。
さて、この問題はとても簡単だと思います。しかし、問題をよく読まないと、嫌らしいひっかけがたくさんあり、間違ってしまう可能性が有ります。特に試験当日は、落ち着いて選択肢をよく読むように心がけましょう。
2 サービス利用者の主体的な生活を実現するために,その意思や権利を代弁することである。
最初に正答から。この選択肢が正答です。アドボカシーを正しく説明できています。
これ以外の選択肢は、どこかがおかしいことになります。1つずつ見ていきましょう。
1 ソーシャルワーカー自身の利益のために,サービス利用者の権利を擁護することである。
後半は、全く問題無いですね。サービス利用屋の権利擁護・・・。問題は、前半です。“ソーシャルワーカー自身の利益のために”→そんなわけないですよね。これじゃ私利私欲の為にクライエントを利用する、ということですから・・・。
3 サービス提供機関が利用者に訴えられた場合に,サービス提供機関の権利を代弁することである。
これは弁護士の仕事ですよね。
4 自らの意思を示すことが困難なサービス利用者の権利を,その家族や友人の判断に基づいて擁護することである。
これも、前半は問題無いです。問題は後半です。”その家族や友人の判断に基づいて擁護すること”→ここがおかしいですね。家族や友人は、言ってみればクライエントからすれば関係は近くとも他人となります。基本的には、相談員はクライエントの代弁者ですね。
5 サービス利用者の主張と,利害の対立する相手方の主張とを中立的な立場で調整することである。
相談員は、この選択肢にあるように、中立的な立場で調整する役割を担うこと自体は間違っていません。しかしながら、アドボカシーの用語の説明にはなっていないので、誤りとなります。
試験当日は、とにかく焦らず全ての選択肢を読み込むことが必要
アドボカシー=代弁、というように覚えておくのはもちろん大切ですし、間違っていません。しかし、試験当日選択肢をよく読まず、選択肢1のように、 ”サービス利用者の権利を擁護することである。”を読んで、1をついつい選んでしまわないように、気をつけてください。
試験出題者は、当然、そのようなうっかりミスをするように誘っているわけなので、まんまと思うつぼにはまらないようにしましょう。