2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第86問 尺度水準と調査の信頼性・妥当性

問題86 測定と尺度に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。


1 測定とは,一定の規則や基準を用いて,調べたい対象の経験的な特性に数値や記号を与える手続である。
2 信頼性とは,測定したい概念をどのくらい正確に測定できているか,という測定の適切性のことをいう。
3 妥当性とは,同じ調査をもう一度行ったときに同じ結果になる安定性のことをいう。
4 社会調査の測定では,信頼性と妥当性のどちらかが満たされていればよい。
5 名義尺度,順序尺度,間隔尺度,比例尺度という四つの尺度水準のうち,大小関係を測定することができるのは,名義尺度である。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

盛りだくさんの内容。尺度水準と、調査の信頼性・妥当性について

問題86です。尺度水準と、調査の信頼性・妥当性について・・・本当に盛りだくさんですね。まずは、尺度水準について見ていきたいと思います。

尺度水準

尺度水準は、名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度の4種類に分類されます。順番も大切で、水準の低→高の順番で並んでいることを覚えておくと良いでしょう。

名義尺度

数字を分類の為に使用するケースが名義尺度になります。例えば1年1組、2組・・・といったクラスわけにおいて、”1組”“2組”は大小関係があるというわけではありませんし、2組の方が1組の2倍というわけでもありません。電話番号110番と119番といった関係も同様ですね。統計処理の代表値は最頻値となります。

順序尺度

順序尺度は、その名の通り、順序・大小関係を表すことができます。例えば、英検1級・2級・3級などをイメージしてみてください。3級と2級の間と、2級と1級の間は、同一では有りません。1級+2級=3級といった計算もできません。統計上の代表値は、最頻値、中央値です。

間隔尺度

間隔尺度は、順序性もあり、かつ、間隔が等間隔となります。例えば摂氏0度と摂氏10度の間、摂氏20度の間は同じ間隔です。しかし、10度と20度を比べたときに、20度は10度の2倍熱い、というわけではありません。摂氏の場合、0度は水の凝固点を意味し、全く何も無い、と言うことではありません。同様に、西暦0年は、キリストが生誕した年とされていて、無ではないです。このような、0=何も無い、を意味する絶対原点の有無が、次の比率尺度との相違点となります。統計処理上は、最頻値、中央値に加え、平均を取ることができます。

比率尺度

最も高水準な尺度です。上記の通り、絶対原点が有るかどうかで、間隔尺度と見分けることができます。また、メートル法で表す距離は、10cmと20cmの間と、20cmと30cmの間は等間隔かつ演算も可能です。

 5 名義尺度,順序尺度,間隔尺度,比例尺度という四つの尺度水準のうち,大小関係を測定することができるのは,名義尺度である。 

以上踏まえて、名義尺度は唯一大小関係を測定することができませんので、選択肢5は誤りです。

信頼性と妥当性

社会調査の測定にあたっては、信頼性・妥当性のいずれも不可欠です。したがって、

 4 社会調査の測定では,信頼性と妥当性のどちらかが満たされていればよい。

言葉の意味はわからずとも、「これは違うだろ」と勘でも答えられるのでは無いでしょうか。誤りです。

信頼性

信頼性とは、例えば知能検査をしたと仮定して・・・同じ人に5回テストを行って、その結果が85,86,84,86,85だったとします。おおよそ85くらいかな?という結果ですね。このように、結果の揺れがないものは妥当性があると言えます。

妥当性を調べるためには、再テスト法、折半法、クロンバックのα係数などが有ります。

妥当性

前述の例のように、毎回85くらいの値が出ているからと言って、そのテストが正しいかというとそうとは言い切れません。つまり、本当は95と判定されるべき人が85と出ているかも知れないです。妥当性には、内容的妥当性、基準関連妥当性、構成概念妥当性が挙げられます。

 2 信頼性とは,測定したい概念をどのくらい正確に測定できているか,という測定の適切性のことをいう。
 3 妥当性とは,同じ調査をもう一度行ったときに同じ結果になる安定性のことをいう。 

ということで、この選択肢ですが、この手の問題にありがちで、信頼性と妥当性の説明が逆になっています。したがって、いずれも誤りです。

1 測定とは,一定の規則や基準を用いて,調べたい対象の経験的な特性に数値や記号を与える手続である。

最後に残った、この選択肢が正答となります。

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