2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第80問 成年後見人の選任状況
問題80 「成年後見関係事件の概況(平成29 年1 月~12 月)」(最高裁判所事務総局家庭局)に示された,2017 年(平成29年)1 月から12 月の「成年後見開始等」の統計に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 申立ての動機として最も多かったのは,身上監護である。
2 申立人として最も多かったのは,市区町村長である。
3 開始原因として最も多かったのは,知的障害である。
4 「成年後見人等」に選任された者として最も多かったのは,司法書士である。
5 鑑定期間として最も多かったのは, 2 か月超え3 か月以内である。
(注)1 「成年後見開始等」とは,後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任のことである。
2 「成年後見人等」とは,成年後見人,保佐人及び補助人のことである。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
資料問題は原典を確認するのが鉄則
いつものように、裁判所ウェブサイトの、 「成年後見関係事件の概況(平成29 年1 月~12 月)」を見ていくことにします。 さて、成年後見人は増加の一途をたどっているわけですが、これは被後見人が主に認知症高齢者で有って、高齢化の進展に伴い、その件数が増加することは必然と言えるでしょう。
当該資料を読み込むと、ポイントは以下にまとめられると思います。
- 申立件数は、経年的に増加の一途(右肩上がり)
- 審理期間は7割強が2ヶ月位内
- 申立人は、本人の子が最も多く、次に市町村長
- 開始原因は、認知症→知的障がい→統合失調症の順で多い
- 申立て動機は、預貯金の管理・解約→身上監護
- 本人と後見人との関係では、司法書士→弁護士→子→社会福祉士の順で多い
以上を踏まえて、各選択肢を検討することになります。
4 「成年後見人等」に選任された者として最も多かったのは,司法書士である。
結果、この選択肢4が正答となります。
傾向的には今年も変わらないので、上記チェックポイントをしっかり抑えればok
裁判所ウェブサイトには、(2019年10月3日減税で)平成30年の資料までアップされています。比較してみたところ、上記傾向は概ね踏襲されているため、さしあたり、本問を抑えておけば当面は大丈夫かと思います。もっとも、前年出た問題がまた今回出るとは限りませんが・・・・
また、資料をよく見てみると、弁護士が減少傾向、社会福祉士による後見は増加傾向に有ることから、今後は順位に変動が有るかも知れませんね。
社会福祉士が成年後見人になるためには、様々な研修の受講が必要となります。何より、試験にまずは合格していく必要が有りますので、そのうえで、後見人の受任と言うことも目指していくようなキャリアを描いていけると良いなと思います。