2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第76問 ACP

問題76 事例を読んで,A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)によるBさんへの対応として,この段階において最も適切なものを1つ選びなさい。


〔事 例〕
日雇の仕事をしながら路上生活をしていたBさん(55 歳)は,胃痛と吐血があったが,医療保険に加入しておらず医療機関を受診していなかった。吐血して路上で倒れているところを発見され,救急搬送されてきた。受診と検査の結果,担当医師から胃がんであることが本人に告げられた。Bさんは医療費の支払ができないので,このまま放っておいてくれと言い続けるだけであった。看護師が説得を試みたが本人の意向は変わらず,担当医師からA医療ソーシャルワーカーに電話が入った。


1 公共職業安定所(ハローワーク)を紹介し,日雇就労の継続を相談するように促す。
2 治療をしなかった場合の身体的リスクを医師に代わって説明する。
3 Bさんの治療拒否の意向が尊重されるように,医師や看護師を説得する。
4 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を検討する。
5 生活保護の医療扶助の説明を行い,申請手続を促す。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

簡単な事例問題。この機会にACPの中身を理解しましょう。

2018年3月、人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインが改定されました。わずかA4二枚の資料なので、この機会にしっかりと理解をしておくことをオススメします。社会福祉士試験は、タイムリーな話題が出題される傾向にある、と再確認できる問題です。

ACP=これからの治療についての話し合い

厚労省のHPには、さらにわかりやすく作成されたパンフレットが掲載されています。そこから引用すると、

アドバンス・ケア・プランニングとは? 万が一のときに備えて、あなたの大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるかについて、自分自身で考えたり、あなたの信頼する人たちと話し合ったりすることを「アドバンス・ケア・ プランニングーこれからの治療やケアに関する話し合い」といいます

引用: これからの治療・ケアに関する話し合い~アドバンス・ケア・プランニング~(パンフレット)

あくまで、話し合いのことをACPというのであって、例えばDNARはACPの中に含まれます。

問題について ACPを知ってればすぐ解ける、知らなくても消去法で回答可能か

ACPを知らなくても、事例問題の基本を踏襲すれば簡単に消去法で回答することも可能かと思います。あくまで相談員の職権、職域の範囲で何ができるか?ということを考えれば、医師や本人の代わりをするような選択肢(4以外の選択肢)は、すべて行き過ぎた行為ですよね。典型的なダメな行動ばかりですね。

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