2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第77問 朝日訴訟

問題77

 生存権に係るこれまでの最高裁判例の主旨に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。


1 厚生労働大臣の裁量権の範囲を超えて設定された生活保護基準は,司法審査の対象となる。
2 公的年金給付の併給調整規定の創設に対して,立法府の裁量は認められない。
3 恒常的に生活が困窮している状態にある者を国民健康保険料減免の対象としない条例は,違憲である。
4 生活保護費の不服を争う訴訟係争中に,被保護者本人が死亡した場合は,相続人が訴訟を承継できる。
5 生活保護受給中に形成した預貯金は,原資や目的,金額にかかわらず収入認定しなければならない。
(注) 判決当時は厚生大臣であったものも厚生労働大臣と表記している。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

生存権に係る最高裁判例といえば、朝日訴訟

” 最高裁判例の主旨 “ということで、最高裁まで争われた生存権に係る訴訟と言えば、朝日訴訟、堀木訴訟です。本設問では朝日訴訟を取り上げています。こちらは、教科書にもとりあげられるなど、社会福祉士試験以外でも耳にされた方があるのでは無いでしょうか?

生活保護は相続できない

 4 生活保護費の不服を争う訴訟係争中に,被保護者本人が死亡した場合は,相続人が訴訟を承継できる。 

朝日訴訟の特徴として、裁判で争われている最中に原告が死亡してしまいました。結果、お子さんが訴訟を引き継いだのですが、「生活保護を受ける”権利”は相続できないため、訴訟は終了」となった点があげられます。(ちなみに、本件のお子さんは裁判の支援者が、原告の死亡直前に養子縁組をしたものです)。したがって、本選択肢は誤りです。

司法の介入対象となるのは、裁量権の濫用又は逸脱が有るときのみ

本問は正直かなり悩みました。結果、原点にたちかえって教科書、つまり中央法規出版、社会福祉士養成講座編集委員会による編集の、No.19権利擁護と成年後見制度を参考にしました。

なかなかこの本をしっかり読んで、理解を深められる方は少ないかと思いますが、本問はこれが最もわかりやすかったかな・・・・

その具体化は原則的に行政(朝日訴訟)または立法(堀木訴訟)の裁量に委ねられているので、裁量権の濫用または逸脱がない限り、司法は介入できないと判示した。

引用: 権利擁護と成年後見制度… 15ページ

逆説的に言うと、厚生労働大臣による裁量権の濫用または逸脱が有る場合は、司法は介入することができる=司法審査の対象となる、と言っています。これは正に選択肢1の通りです。

 1 厚生労働大臣の裁量権の範囲を超えて設定された生活保護基準は,司法審査の対象となる。

難しい問題ですが、やはり教科書が基本であることを示す問題

朝日訴訟の事は知っていても、法律の問題ということで、なかなか理解が難しいという方は多いのでは無いでしょうか?とりわけ成年後見などは弁護士や司法書士が関わってくる分野でもありますし、試験を突破して行くには教科書の読み込みをしながら理解を深めていく必要が有ると思います。

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