2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第50問 日本における社会保険と民間保険

問題50

 日本における社会保険と民間保険に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 民間保険では,加入者の保険料は均一でなければならない。
2 生命保険など民間保険の保険料が,所得税の所得控除の対象になることはない。
3 民間保険には低所得者に対する保険料の減免制度がある。
4 社会保険では,各個人が自由に制度に加入・脱退することは認められていない。
5 社会保険は,各被保険者の保険料とそれにより受け取るべき給付の期待値が一致するように設計されなければならない。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

ボーナス問題。これは簡単でしたね!

社会保険と、民間保険について、ということですが、常識で考えればわかる問題かな(特に社会人経験がある人にとっては。)

民間保険は、営利企業が提供している保険です。※共済等除く

この問題で出てくる”民間保険”は、〇〇生命といった保険会社が提供する保険商品のことを指していると思われます。その前提で問題を見ていくこととします。

保険には様々な種類がありますし、目的もそれぞれ違います。葬式代が残るように、ということで生命保険をかける人、一家の大黒柱が勤労所得を喪失した場合に備えて加入する、収入保障であったり、貯蓄目的で生命保険に入る人もいます。火事が起きた時のための火災保険や、自動車保険・・・様々な商品がありますね。これらをここで説明していくの本筋から外れてしまいますが、社会人の方は多かれ少なかれ、何らかの保険商品に加入されているのではないでしょうか?そんなことをイメージしながら読んでいくと、理解が深めやすいですし、社会人の有利なところかと思います。

営利企業が運営=利潤の追求が目的の一つ

1 民間保険では,加入者の保険料は均一でなければならない。 →営利企業が提供する保険商品ですから、当然そこには商品そのものの魅力(商品としての魅力、補償の手厚さ)や、価格競争といったものが商品価値を決めることになります。自分自身振り返ってみたら、保険料は価格比較して安いところで入りたいなあ、と思いませんか?よって、選択肢1は誤りです。

また、選択肢3 低所得者への減免は民間保険では制度化がされているとは限りません。あくまでいち企業と個人の間の契約となりますので、支払い能力に疑義がある方については、謝絶(加入そのものをお断り)しても差し支えないということになりますから、”民間保険”という括りで一般的に”制度がある”とは言えないです。したがって、選択肢3も誤りといえます。

年末調整等で行う、生命保険料控除の手続き

選択肢2誤り。 社会人として就労されている方は、毎年12月の給与支給時、年末調整をしていることと思います。手続きそのものは会社主導で行われますが、様々な書類提出指示を受けているのではないでしょうか?例えば扶養控除異動申告書や、保険料控除申告書です。生命保険の保険料を支払っている場合、一定の基準に基づいて所得税の控除を受けられるという仕組みです。所得税の控除を受けることが出来るという点は、保険加入のメリットの一つです。

社会保険は加入に一定の強制性がある

民間保険は契約で、加入は任意と書きました。公的な社会保険はその逆で、一定強制的に加入させるような仕組みがあったりします。社会保険の一つ、健康保険(国民健康保険・社会保険)は、例えば加入が任意だった場合、健康な人(保険料の払い損になりうる人)は入りたくない、病気がちな人(給付を受ける可能性が高い一方で、保険料支払い能力に疑義がある)だけが入る、というような状況を生みかねず、制度そのものが成り立たなくなる恐れがあります。したがって、選択肢4 社会保険では,各個人が自由に制度に加入・脱退することは認められていない。というのは、まさにその通り、正答です。

選択肢5誤り 社会保険は,各被保険者の保険料とそれにより受け取るべき給付の期待値が一致するように設計されなければならない。→”されなければならない”ではないですよね。

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