2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第33問 地域福祉に関する理念や概念
問題33
地域福祉に関する理念や概念に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
1 ソーシャルキャピタルとは,地域における公共的建築物や公共交通といった物的資本の整備状況を示すことをいう。
2 住民主体の原則とは,行政の指導の下で地域住民が主体となって行う地域活動の原則のことをいう。
3 ノーマライゼーションとは,障害のある人に,障害のない人と同じような暮らしが可能となる生活条件を作り出していく考え方のことをいう。
4 地域移行支援とは,住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供することで,在宅の限界点を高めることをいう。
5 ソーシャルインクルージョンとは,全ての人々を孤独や孤立,排除や摩擦から援護し,社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。
”適切なものを2つ選びなさい。”が登場! 間違えないようにしましょう
社会福祉士国家試験では、”適切なものを2つ選びなさい。という問題があります。この問題がそうですね。この問題で、1つだけしか選ばなかった場合は、不正解になります。この”2つ選ぶ”は、固まってではなく時々出てくるので、たちが悪いです。問題を解くときは、かならず問題文をしっかり読んで、最後の部分”最も適切なものを1つ””正しいものを1つ””適切なものを2つ”の部分をに、最初に○をつけてから解くように習慣づけると良いです。
ソーシャルキャピタル
ソーシャルキャピタルとは、物的資本ではなく、 人的資源、すなわち人と人との信頼関係や協調によって社会の効率が行われていくというような考えです。抽象的な内容で、つかみにくい部分ではありますが、選択肢1は明確に誤りです。
住民主体の原則は、社会福祉協議会基本要項が初出
こうした地域福祉活動の実践をふまえて、昭和 37 年(1962 年)、「社会福祉協議会 基本要項」が策定された。 この基本要項は、①住民の福祉ニーズおよび地域の生活課題を把握し、それに立脚するとともに、②その解決のための、住民の自主的な活動への参加と組織化を推進する、などの「住民主体」の原則に基づく社会福祉協議会の組織と活動のあり方を明らかにした。
引用: 新・社会福祉協議会基本要項
社協発の文書が、”住民主体の原則”の出所となっています。住民の自主的な活動への参加を推進する、とされており、行政の主導の下、という論点はどこにも書いてないですね。したがって選択肢2は誤り。
地域移行支援は,障害者支援施設の入所者または精神科病院入院者が、地域での住所確保など、地域での生活へ移行していくための支援
選択肢4の説明は、地域包括ケアについてですね。
残った選択肢、3と5が正解
ソーシャルインクルージョンは、耳慣れない言葉かも知れません。ソーシャルは、社会。皆さんが目指す職種は”ソーシャルワーカー”ですから、これは良いですよね。”インクルージョン”は、include(含む)の、名詞形。包括とかそういう意味です。社会的包摂などと訳されたりします。障害者などを、社会から隔離したり排除したりするのではなく、社会の中で助け合って強制していきましょうという考え方です。