2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第72問 公的医療保険
問題72
日本の公的医療保険の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保険医療機関が受け取る診療報酬は,審査支払機関の立替金によって賄われる。
2 被保険者でない患者の医療費は,医療機関の立替金によって賄われる。
3 社会保険診療報酬支払基金は,保険診療の審査支払機能を担う保険者である。
4 調剤薬局は,医療保険にかかる費用の請求機関の対象外となる。
5 特定健康診査の費用は,療養の給付の対象外となる。
引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題
審査支払機関の役割を正しく理解したい
ここでは、社会保険診療報酬支払基金が出てきます。いつものように、支払基金のHPを見ると、なかなかわかりやすく説明がされています。ちなみに、僕はこの問題、選択肢1を選んで間違えてしまいました・・・。
1.支払基金ってなにをしているの?
引用:支払基金のHP
1.保険医療機関(薬局)からの診療に係る医療費の請求が正しいか審査したうえで、健康保険組合(保険者)などへ請求し、健康保険組合から支払われた医療費を保険医療機関へ支払いをする仕事をしています。
”審査支払機関”と言うくらいですから、審査と支払いをするわけですが、医療機関から上がってきた公費への請求(一般被保険者7割分等)について、妥当性をチェック(審査)し、問題無ければ、7割分を医療機関に(保険者の代わりに)支払うのが役目です。
言葉ではなかなか伝わらないので、 支払基金のHP 中の図をご覧ください(無断複製が禁止されているため)
さて、問題の選択肢1について
1 保険医療機関が受け取る診療報酬は,審査支払機関の立替金によって賄われる。
これですが、審査支払機関から医療機関へは、保険者からの委託で支払いを代行しているワケなので、立替金では無い、ということだと思われます。前述の通り私は、これを選んでしまいましたが、誤りです。
選択肢をよく読み込む、試験当日焦らないことも重要です
3 社会保険診療報酬支払基金は,保険診療の審査支払機能を担う保険者である。
うっかりこの選択肢を選んだ人も多そうですね。”社会保険診療報酬支払基金は,保険診療の審査支払機能を担う” →ここまでは合ってます。しかし、最後の”保険者である”ココが決定的にまちがっています! 審査支払機関は保険者ではありません。保険者からの委託をうけて、審査・支払いを行う機関です。試験当日焦っていたり、また知識が不十分だと選んでしまいかねない選択肢だと思いました。
2 被保険者でない患者の医療費は,医療機関の立替金によって賄われる。 4 調剤薬局は,医療保険にかかる費用の請求機関の対象外となる。
この二つは、即座に除外できる項目かと思います。
5 特定健康診査の費用は,療養の給付の対象外となる。
残った、選択肢5が正答となります。