2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第71問 平成27 年度国民医療費の概況

問題71

 「平成27 年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく,日本の医療費に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。


1 入院と入院外を合わせた医科診療医療費の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
2 国庫と地方を合わせた公費の財源割合は,国民医療費の50 %を超えている。
3 65 歳以上の国民医療費の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
4 公費負担医療給付の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
5 人口一人当たりの国民医療費は,60 万円を超えている。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

インターネットを活用した勉強が、社会福祉士国家試験突破への近道

いつものように、厚労省のHPの資料を見るのが一番です。結果の概要として掲載されているpdfを閲覧しましょう。インターネットの情報は古かったり、根拠に乏しい場合がありますが、こと法律の条文や、各種調査、ガイドラインといったものに関しては、行政の資料がたいへん役に立ちます。積極的にかつようしたいところです。

さて、このもんだいについては、前述の通り 厚労省のHPの資料 で一目瞭然です。

医科診療医療費は、入院、入院外(外来)、歯科、調剤、その他と大別できます。この中でボリュームが大きいのは、入院と入院外(外来)です。

入院外=外来、というのはイメージがわきにくいかも?

私は医療機関勤務が長かったので、しみついている部分がありますが、入院外といえば、外来(と往診)のことなのです。

 1 入院と入院外を合わせた医科診療医療費の割合は,国民医療費の70 %を超えている。

→これは件の 厚労省のHPの資料で明白、正答です。 イメージがつけば、比較的簡単に選べるのでは無いでしょうか・・・いくら歯科医院が巷にたくさん有ろうとも、入院医療費が全体の大部分を占めていることは容易に想像が付くのでは無いでしょうか?

医療費は、保険料・自己負担・公費から拠出されている

 2 国庫と地方を合わせた公費の財源割合は,国民医療費の50 %を超えている。

見出しの通り、医療費の国庫負担は保険料・自己負担・公費によって構成されています。ポイントとしては、

  • 国民医療費は40兆円超
  • 公費負担は50%を越えていない
  • 社会保険料は、労使折半(会社と会社員で、半分ずつ出し合う)

というところでしょうか。ちなみに、現在社会保険の加入対象を拡大する方向で進んでいますね。130万円以上の収入がある人は社会保険加入ということで、主婦の方が制限して社保扶養の範囲内で働く、ということを聞いたことがある方も多いのでは無いでしょうか?2019年現在、500人以上の大会社においてはより低い基準で加入が必要です。この”500人以上”という制限がさらに引き下げされ、社会保険の加入条件はより緩和される方向で議論がされています。もっとも、労使折半ということで、会社負担も大きくなることから、企業としては反対の動きもありますね。報道や政策の動向も注視していく必要が有りますね。

 3 65 歳以上の国民医療費の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
 4 公費負担医療給付の割合は,国民医療費の70 %を超えている。
 5 人口一人当たりの国民医療費は,60 万円を超えている。 

以上、当該資料によるといずれもあてはまりません。3あたりは、思わず選んでしまいそうになりますが、いわゆる生活習慣病といった疾病は40台頃から罹患する人が増えてきます。その近傍の年齢も医療費が多くなっており、65歳以上で70%とまでは行きませんでしたね。

このような資料問題は、今回の過去問を単に丸暗記するのではなく、資料を見ながら、イメージを膨らませて、なんとなく傾向をつかんでいくのが良いと思います。特に、「公費負担は50%未満だよ」というのはポイントでは無いでしょうか?

社会福祉士国試は範囲が膨大ですから、効率よく勉強していくことが必要だと思います。その一助になれば幸いです。

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