2018年度(第31回)社会福祉士国家試験過去問解説 第70問 公的医療保険の給付内容

問題70

 日本の公的医療保険の給付内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。


1 療養の給付に係る一部負担金割合は,被保険者が75 歳以上で,かつ,現役並み所得の場合には2 割となる。
2 高額療養費の自己負担限度額は,患者の年齢や所得にかかわらず,一律に同額である。
3 食事療養に要した費用については,入院時食事療養費が給付される。
4 出産育児一時金は,被保険者の出産費用の7 割が給付される。
5 傷病手当金は,被保険者が業務上のケガで労務不能となった場合に給付される。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

公的医療保険についての問題。学生の皆さんには馴染みが浅いかも・・・

公的医療保険の問題です。この問題は、社会人の方が有利かも知れませんね。一定の年齢を重ねておられる方だと、社会保険本人負担1割の時代をご存じでしょうか・・・・入院して自分の入院費を払ったことがある人や、出産時育児一時金を受給されたかともいらっしゃるかも知れませんね。私は、傷病手当を実際に受給したこともあります。

社会福祉士試験は、長引かせず一回で合格しましょう!その理由は・・・

社会福祉士国家試験は、一回で合格するのが効率的です。何をいまさら、と言われるかも知れませんが、理由ははっきりしています。”制度がどんどん変わっていくから”です。もちろん、相談員の仕事をしていれば、制度や社会資源についての知識は常にアップデートしていく必要が有ります。とはいえ、別業界に就いてしまったりしていると、なかなかそうも行かないのが実情かと思います。

ロンドンがブースで貧困調査をした、という事実はずっと変わらないですね。しかしながら、医療保険制度はどんどん変わっていきますから、古い知識のまま試験に臨み、再度討ち死に、ということは想像に難くありません。社会福祉士は試験敗退を重ねるほど不利になると思います。

現役並み所得は3割

1 療養の給付に係る一部負担金割合は,被保険者が75 歳以上で,かつ,現役並み所得の場合には2 割となる  →75歳以上ですから、後期高齢者ですね。現役並み所得は3割となります。従って、選択肢1は誤り。2割負担は前期高齢者の一般の方です。なお、以前は 前期高齢者の一般の方は1割でした。 本問題では前期高齢者については問われていませんが、狙いやすいところかと思いますし、また、古い知識のままだと、ひっかかる所ですよね。あくまで試験当日の制度について問われる、ということは留意すべきかと思います。そういった意味では、漫然と過去問を解くのは危険だと思います。

高額療養費は、年齢や所得の多寡によって変動する

2 高額療養費の自己負担限度額は,患者の年齢や所得にかかわらず,一律に同額である。 → これは真っ先に除外できる選択肢では無いでしょうか?当然に、誤りですね。 計算方法がとにかくややこしく、かつコロコロ制度が変わるぶぶんですね。高額療養費については、医療機関の相談員は非常に扱うことの多いのでは無いでしょうか。現在は受領委任払いが普及したので、随分使いやすくなりましたね!

出産時育児一時金は定額払い

4 出産育児一時金は,被保険者の出産費用の7 割が給付される。  → 出産時育児一時金は、定額42万円の支払いです。正常分娩は病気では無いため、健康保険の給付は受けられません。しかしながら、一時金として給付を受けることができるのが、出産時育児一時金です。7割給付、という本設題は、通常の療養の給付(3割負担)との引っかけですよね。誤りです。出産時育児一時金も、医療機関への直接払いが現在はできるようになっています(条件あり)。

業務上のケガは労災保険から給付が受けられる

5 傷病手当金は,被保険者が業務上のケガで労務不能となった場合に給付される。 → これも簡単ですね。業務上のケガで労務不能となった場合に給付されるのは、労災保険の休業補償給付です。8号様式を提出して手続きをします。この選択肢も誤り

正答は、選択肢3です。

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