2018年度(第31回)社会福祉士国家試験解説 第53問 医療保障制度の歴史的展開

問題53

 医療保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。

1 健康保険法(1922 年(大正11 年))により,農業従事者や自営業者が適用対象となった。
2 老人福祉法(1963 年(昭和38 年))により,国民皆保険が実現した。
3 老人保健法(1982 年(昭和57 年))により,高額療養費制度が創設された。
4 介護保険法(1997 年(平成9 年))により,老人保健施設が創設された。
5 健康保険法等の改正(2006 年(平成18 年))による「高齢者医療確保法」により,75歳以上の高齢者が別建ての制度に加入する後期高齢者医療制度が創設された。

(注) 「高齢者医療確保法」とは,「高齢者の医療の確保に関する法律」のことである。


引用元: 第31回(平成30年度)社会福祉士国家試験 試験問題

選択肢5が正答 後期高齢者医療制度は現行の制度

後期高齢者医療制度は、ついこの前始まったような(自分の中での)認識でしたが、もう13年も前なんですね。現在大学で学習しているような方々は、物心ついた頃には制度が存在していたというような状況ですね。

なかなか、自分が実体験していない事象というのはイメージしにくく、また、覚えることも難しいと思います。この問題のポイントは、時系列というよりは、法律の中身から連想していくと良いと思います。

ちなみに、厚労省のHPにわかりやすい資料がありましたので参考にしてみてください。

選択肢4 現行の施設種別は”介護老人保健施設”です

選択肢4誤り介護保険法で創設されたのは、”介護老人保健施設”です。老人保健施設は、”老人保健法”に規定された、医療保険サービスの老健ですね。

介護保険ができるまでは、老健といえば医療保険の老人保健施設でした。介護保険サービスとなり、介護老人保健施設へ転換したと言うことになります。老人保健法は、現在は”高齢者の医療の確保に関する法律”となっています!

ちなみに、特養は老人福祉法の特別養護老人ホームと、介護保健施設の”介護老人福祉施設”という両方の側面を持っています。ごっちゃになりやすいので、気をつけてください。老人福祉法は現在も生き残っていますので、ご留意ください。

法律と制度のミスマッチに気づけるか?

選択肢2誤り  老人福祉法(1963 年(昭和38 年))により,国民皆保険が実現した。→もしかしたら、”老人福祉法をもって、国民皆保険が完成した”、なら正答だったかも?

1938年に、農民等を対象とした国民健康保険法 (任意加入)が成立→1961年の、国民健康保険法(強制加入)を持って、国民皆保険が成立しました。同年には、国民皆年金も実現しています。 この流れは覚えておきましょう。

選択肢1も誤りですね。上記のように、農業従事者等が対象となったのは国民健康保険です(現在も、一般的にサラリーマン等の被用者が社会保険、自営業者は国民健康保険に加入しますね。)

”老人”福祉法という、高齢者を対象とする保険の成立により、国民全員が健康保険に加入する皆保険が実現・・・少し違和感を感じませんか?

選択肢3も誤り。高額療養費は、健康保険の一部負担金が一定金額を超過した場合に償還払い(当時)される制度です。1982年の老人保健法は、医療費の一部負担が発生ですね(1973年老人医療費無料化を受けて)。

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です